非常用発電機の年次点検の内容と罰則の内容を法令別に解説
商業施設、ビル、病院、介護施設等に設置されている非常用発電機は消防法、建築基準法、電気事業法において年次点検が義務付けられています。
この記事では、非常用発電機の年次点検について解説します。
法令に基づく非常用発電機の点検内容
非常用発電機の年次点検は電気事業法、消防法、建築基準法に基づいて行います。
それぞれ点検内容が異なりますので内容を押さえておくことが大切です。
電気事業法
点検内容は月次点検と年次点検があり、月次は月に1回、発電機及び励磁装置の外観に異常がないかの点検を行います。
年次では自動起動と自動停止装置の状態、部品の接続箇所、地面との接地面、接続部、内部蓄電池、起動装置に異常がないか点検を行います。
さらに平成30年6月からは5分程度エンジンの空ぶかしによる試運転が追加されています。
消防法
消防法では特定防火対象の建築物で延べ面積1000平方メートル以上の場合は消防用設備と共に発電機等の動力源も点検が義務付けられています。
点検には6カ月毎に行う機器点検と1年毎に行う総合点検の2つがあります。
機器点検では動作確認と機器損傷の有無の確認、総合点検では全部または一部の設備を作動させて使用し総合的な機能を確認すると共に30%以上の実負荷試験も行わなければなりません。
点検は消防設備点検資格者、第一種自家用発電設備専門技術者の両方の資格保有者が行います。
建築基準法
建築基準法では非常用発電機の試験回路などにより非常用照明が正しく点灯するか、発電機の蓄電池触媒栓の有効期限、液漏れ等の確認、保守報告書の記載などが義務付けられています。
点検は一級・二級建築士、建築設備検査員、昇降機検査員、防火設備検査員など有資格者が行います。
非常用発電機の年次点検を怠ると罰則がある
非常用発電機は点検を怠ると罰則の対象となります。
罰則は施設の所有者・管理者のみにとどまらず使用人や従業員にまで及びます。
電気事業法
発電設備の設置者に対し、技術基準の適合命令または使用制限
建築基準法
検査報告をしない者、または虚偽の報告をした者に対し100万円以下の罰金
消防法
点検報告をしない者、または虚偽の報告をした者に対し30万円以下の罰金または拘留
上記従事者と所有者・管理者に対し最高1億円の罰金及び刑事責任
いざというときのために非常用発電機の年次点検が必要
商業施設やビル、病院、介護施設など、人が多く集まる施設では非常時には多くの人命を守る義務があります。
そのため、非常用発電機の点検をしっかりと行い、万が一の時に備えることが大切です。
義務や罰則のために点検を行うのではなく、施設を利用する人の人命を守るために非常用発電機の点検を実施することが大切です。