非常用発電機」と「常用発電機」の違い
非常用発電機
運転時間
使用機会が災害時の初期消火や避難時に限られるため運転時間は短く、1時間以上の運転を行ないたい場合は、長時間対応型の製品を採用する必要があります。
点検頻度
年に1回の点検を行なわなければなりません。
常用発電機
運転時間
長時間運転を想定した構造になっており、常用運転可能です。
点検頻度
電気設備の点検と同時に行なわれるので、設備の状況によって変動します。
年に4回から12回程度と考えておくとよいでしょう。
それぞれの発電機が活躍するのはどんな時?
非常用発電機は短時間の運転を想定しており、文字通り非常時に活躍してくれます。
主として災害時に電源供給が途絶え、通常の電気が使用出来なくなった際に使用されます。
地震や火災といった災害で停電が起きた時、防災設備や人命を救助するための機器が動かなくなると、被害を拡大させたり救える命を救うことができなかったり大変なことになります。そのため一定の条件を満たす施設においては、消防等の法律により非常用発電機の設置が義務付けられ、消火栓やスプリンクラー、排煙機といった防災設備が「停電になったので使えない」といったことにならないようにしています。
特に命を預かる病院や老人ホームにおいては、非常用発電設備を備えることで、停電時でも医療サービスを継続、入院・救急患者の命に関わる医療機器やその他のシステムが突然停止するようなことを防いでいます。
その他にも、大型スーパーや学校等、避難所として使用される場所に災害時に電気を供給できる設備として設置されています。
常用発電機は非常用発電機とは違い、平常時に長時間の運転を行う発電機です。電気使用量の多い製造工場等では、電気の使用量が多くなる時間帯に発電機を稼働させることで、デマンドのピークカットを行い電気料金を抑える目的で使用します。
激甚化する災害への備えとして
東日本大震災では発電所の停止、送電線の故障等のライフラインの寸断から長時間にわたり停電が発生しました。「電気が使える」という当たり前の生活から「電気が使えない」という不便な生活へ一変し、苦労された方が多くいらっしゃいます。家庭で使う電気であれば、「照明が使えなくて困った」や「スマートフォンの充電ができない」という不便で済ませられるかも知れません。しかし、会社や工場などの長時間にわたる停電は、お客様や取引先への生産活動・サービスの提供ができなくなり、取引停止や冷蔵庫が使えず大量の食品ロス等、大変な損失を生んでしまいます。”
自然災害が激甚化、多発している昨今では停電時の電力をどう賄うかというのは喫緊の課題です。大規模災害が発生して停電が起こればライフラインの全面復旧に数週間から数か月かかるということも考えなければなりません。
過去の災害で電気のみの復旧をみても、9割復旧するまでにかかった日数は2011年3月の東日本大震災で6日、2016年4月の熊本地震で7日でした。
長期間の停電の影響は先ほどお伝えした通り多岐に渡り、損害はもちろん、命に関わる事態にもなります。
その中で注目されているのが事業継続計画 (Business Continuity Plan:略してBCP)の策定です。大規模災害が発生した非常時でも事業を継続して行えるようにするための計画で、現在は医療機関・老健施設を中心にBCP策定が進められています。
命に関わるような非常時に対応するために非常用発電機がありますが、発電機の多くはガソリン・軽油を燃料としています。
実際の災害時にはそもそも燃料が手に入らないということが十分あり得ます。ニュースでガソリンスタンドに燃料を求める長蛇の列ができているのを見たことありませんか?
そうなると、いざ発電機を稼働させようとしても燃料がなく稼働できないという事態が起こります。 また、ガソリンや軽油は6か月程度で劣化が始まり、そのまま使用すると発電機の故障に繋がり修繕費に多額の費用がかかってしまいます。
いつ来るかわからない災害に対して、常に気を張って準備しておくのも大変ですよね。
じゃあどうすれば?
現在では300時間にも及ぶ長時間運転や持ち運びを可能とし、災害時に燃料の確保がしやすいLPガス発電を採用している非常用発電機といったものも開発されていますし、カセットボンベで発電するものもあります。
また、最近では『ハイブリッド発電機』と呼ばれる発電機が登場しています。
ハイブリッドとは『ガソリン』+『LPガス』のどちらでも発電できるという意味です。
先ほど、お伝えしたようにガソリンは劣化が6か月程度ですが、LPガスに関しては数十年程度では変質したり劣化したり、また腐ったりすることもありません。燃料としてはとても優秀ですね。
また、企業向けに200Vも使用できる発電機もあります。
これがあれば、いざという時にも安心です。 上記のような非常用発電機を導入すれば、被災時に企業が受ける損害を抑えることはもちろん、避難所でのスマートフォンの充電や食料の保存などインフラ回復までの生活に大きな助けとなるでしょう。