落雷や停電で非常用発電機が故障する理由
非常用発電機の故障トラブルには大きく分けて3つあります。
1つめはメンテナンスの不足・整備不良による経年劣化や運転時に発覚した不具合
2つめは発電機本体の初期不良やリコール対象の部品が組み込まれている機器
3つめは落雷や台風による停電が発生したときに起きる故障トラブル
先月の設備点検時には問題なく動いていた非常用発電機が、次の点検時に異常が起きていた際
その間に嵐や台風を受けていた場合には、自然災害による故障が疑われます。
落雷が非常用発電機本体に直撃をしなくても、周辺に落雷があった場合
非常用発電機は故障をするリスクがあります。
非常用発電機は建物や地面に据え付けられています。
周辺に雷が落ちたときの電流が地面を伝い非常用発電機の内部へ異常電圧を
拾ってしまうことがあります。
この現象を「地絡」といいます。
非常用発電機の制御基板や充電器、AVRはすべて電子機器です。
地絡による異常電圧が基板にまで到達をしますと、基板内部で故障を引き起こし最悪の場合には
基板周辺のリレーまで燃えるほど破損した状態の機器もあります。
故障した非常用発電機の症状
落雷が原因と考えられる故障をした非常用発電機の主な故障の症状は
非常用発電機が操作盤から発電機が起動しない(エンジンが動かない)
非常用発電機の自動始動・自動停止機能の両方またはいずれかが機能しない
停電をしていないのに非常用発電機が自動始動(勝手に動き出す)する
制御パネル表示にCPU異常などの点灯がある
以上のような症状の場合、制御盤またはリレーや切替器などに故障の原因が考えられます。
制御が故障した非常用発電機の修理
制御基板一式のASSY交換の場合
制御基板が故障した場合の修理対応は基板交換です。
互換性を担保するため、制御基板を交換する場合は、AVRと充電器も交換することが一般的です。
メーカーにより、基板供給にはメーカー工事付きの条件があります。
生産終了基板の場合
年式によってはメーカーで基板生産を終了している場合があります。
また比較的年式が新しくても、すでに非常用発電機の生産から事業撤退や
他メーカーに買収をされている場合には、基板供給が行われません。
部品供給がされない基板は、弊社で基板を持ち帰り分解整備をします。
基板方式ではなく、リレー方式の制御の場合は、すべてのリレーをオーバーホールする方法もあります。
自然災害による非常用発電機の故障には火災保険適用をできる可能性があります
建物に据え付けられている非常用発電機は、建物の付帯設備です。
自然災害に対しても火災保険の適用が認められます。
非常用発電機の修理を保険適用できるかは保険証券から確認できます
火災保険でも火災しか補償しないタイプのものと、落雷や突風、雪害、ひょう害など補償範囲により適用できる場合が異なります。
大きな台風が通過した後や停電が起きた後に非常用発電機に故障トラブルが発生しましたら、火災保険の適用で費用を最小限に直せる可能性があります。
不安な点がありましたら、ご相談下さい。
保険適用の前に因果関係を調査する
生命保険は医師の診断書、自動車保険は警察の事故証明やディーラーの見積書が客観的資料として証明に使えます。
非常用発電機を火災保険で直したい場合には、どのような流れを要するか。
メーカーまたは発電機の専門会社による故障原因の調査と調査レポートが必須です。
発電機の故障と災害との因果関係
地絡により制御基板が壊れてしまったケースでは
27信号(停電信号)や切替器、受電キュービクル側、リレーなどどの部分に異常があるかを調査します。
対象範囲を明確化することで問題箇所の原因と正確な見積もりを算出します。
制御盤内に異常電流が生じた箇所を特定し対策プランと合わせて調査レポートを作成します。
保険の仕組みと基板分解修理ができるノウハウの有無が結果を左右する重要なポイントです。