長時間化する停電と大規模災害の頻発
72時間の壁の根本は「人命救助」ですが、近年実際に起こった停電として2018年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震では、日本で初めてとなるエリア全域に及ぶ大規模停電(ブラックアウト)が発生し、道内全域において最大約295万戸が停電、ブラックアウトから概ね全域に供給できるまで45時間程度を要しました。
2019年9月には、台風15号によって千葉県を中心に鉄塔や電柱の倒壊によって、最大93万戸あまりが停電。完全に復旧するまで、約280時間かかりました。
残暑のなか多くの人がエアコンが使えず、長期間にわたる停電の影響で熱中症などで8名が死亡しました。
翌月10月の台風19号でも静岡県、関東甲信越を中心に約52万戸が最大4日間にわたり停電しています。
これら近年の被災からの学びを活かすため、電力インフラ・システムのレジリエンス(強靱性)を高めようとする改正法「エネルギー供給強靱化法」が2020年6月に成立しましたが、これだけで社会全体のレジリエンスを高めるには限界があり、電力消費者である民間の自発的な取り組みも重要になってきます。