日本に初めて電気がついた日
電気がなかった時代は、電化製品もなく、車も走っていません。テレビの時代劇で見るように、江戸時代は、馬や牛で畑を耕作したり、荷車で運搬したり、人や動物の力にたよっていました。
洗濯は川や井戸からくんだ水で手洗いをし、お風呂は、くんだ水を“まき”でわかすなど、家事も重労働でした。
電灯を使う前は、ロウソクの火や石油ランプ、ガス灯が主な照明道具でした。明治のはじめ、日本は西洋の科学技術をどんどん取り入れるようになりました。電灯もその中のひとつです。
1878(明治11)年。
いまからおよそ130年前の3月25日、東京虎の門の工部大学校(現在の東京大学工学部)のホールにアーク灯が設置されました。
アーク灯というのは、電気を使って発生させた火花を利用した電灯です。
当日は式典があり、そこでアーク灯を点灯しようという計画が進められていたのです。
そしていよいよ夕方、多くの人の見守る中で、天じょうにつるされたアーク灯に電気が通じ、まばゆい光でホールが照らされました。蓄電池(バッテリー)の電気を使ったので長時間ともすことはできませんでしたが、人びとはその明るさに目をみはったと伝えられています。
これが日本で初めて電灯がともった日で、3月25日は「電気記念日」になっています。
しかし、日本に初めてともった電気のあかりを目にしたのは、式典に参加した人々だけでした。
多くの人びとが電灯を初めて見たのは、東京銀座の街路に設置されたアーク灯で、1882(明治15)年11月1日のことでした。電源には発電機が使われました。
こうして電灯の評判は日本中に広まり、全国各地に電力会社が誕生しました。
また外国ではエジソンが1879(明治12)年10月21日に白熱電球の40時間点灯に成功。後に日本でも、白熱電球が使われるようになりました。
毎年10月21日はエジソン発明の白熱電球を記念し、「あかりの日」になっています。