非常用予備発電装置とは?定義や種類、電気事業法の点検
日本は災害大国と呼ばれるように、異常気象や、震災などの自然の猛威が起きやすい国です。災害などが生じるとあらゆる危害が発生します。人体的損傷や停電など様々なリスクにさらされています。
人命への影響だけでなく、停電が起きてしまえばあらゆる人々の生活に悪い影響を与えてしまいます。
そんなあらゆる非常事態には備えが必要です⚠。非常事態への備えとして非常用予備発電設備が重要な役割を果たしているのです。
そして非常用予備発電設備の工事や設置を行うための資格も存在しています。それは「非常用予備発電装置工事資格者」と呼ばれる資格です。
この記事では、非常用予備発電装置とはいったいどんな装置なのか?非常用予備発電装置を扱うための非常用予備発電装置工事資格者の資格はどんな資格か?などといったことを紹介します。
非常用予備発電装置とは?定義
非常用発電装置の定義
まず非常用予備発電装置は自家発電設備に分類されます。自家発電設備はさらに常用と非常用に分類されます。
常用自家発電設備とは
様々な設備の常用電源として運用される設備です。呼んで字のごとくですが、具体的には以下のような用途で区分わけがされています。
- 発電専用
- 電気のみを供給するもの
- 熱電供給(コージェネレーション)
- 電気と同様に熱も供給するもの
- 常用・防災兼用
- 常用電源で、防災機能も兼ね備えたもの
このような用途で常用自家発電設備は使用されます。電気事業法では常用自家発電設備は、「発電所」という取扱を受けます。
これが常用の自家発電設備ですが、これに対して非常用自家発電設備とはどんな用途で、違いがあるのでしょうか。
非常用自家発電設備とは
非常電源、予備電源として停電などの非常時のみ運転されます。非常用自家発電設備は「電気設備技術基準法」、「消防法」、「建築基準法」の3つの法律により分類されています。非常用予備発電は法律により規定された設備ですので、届け出が必要になりますし、法定点検をする必要があります。各基準のに沿って点検をしなければならないのです。詳細はこちら「非常用予備発電の点検義務」
それぞれの法律による規定のもとに非常用自家発電設備の用途は変わってきます。
- 防災用
- 法令(消防法、建築基準法)に基づき設置が義務づけられた防災設備(消防用設備、建築設備)を対象に電気を供給します。
- 防災専用機
- スプリンクラー、消防排煙設備が途絶えたときに使用する非常用電源
- 防災用・保安用共用機
- 防災専用機
- 法令(消防法、建築基準法)に基づき設置が義務づけられた防災設備(消防用設備、建築設備)を対象に電気を供給します。
- 保安用
- 「保安用電源」や「業務用電源」を指します。
- 避難や消防に使用する予備電源ではなく、業務用。保安設備に電力を供給するための用途
- 「保安用電源」や「業務用電源」を指します。
非常用自家発電設備は大別して防災用と保安用に分けることができます。このような違いについてみたところで、非常用自家発電設備の具体例を見てみましょう。
建築物の電気設備として使用する非常用自家発電設備は「ディーゼルエンジン」と「ガスタービンエンジン」の二種類があります。
ディーゼル発電機
ディーゼル非常用発電機は、20kVAの小さな機種から1,000kVAを超えるような大型機種まで幅広い機種があります。オフィスビルや一般非常用のディーゼル非常用発電機もあります。ディーゼル式ですので、騒音が気になるところですが、近年では超低周波な騒音が抑えられたものも発売されているようです。
特徴としては、長時間の場合は軽負荷で運転する必要があること、直接噴射式と予燃焼室式により燃焼効率がいいこと、冷却方式があるなどといった特徴があります。また、負荷試験も必要になります。
ガスタービン非常用発電機
ガスタービン非常用発電機:出典:日比谷総合設備株式会社
液体燃料を使用した圧縮点火方式による往復運動を回転運動に変換して発電する仕組みになっているのがガスタービン非常用発電機です。
ガスタービン非常用発電機の特徴としては、発電電力は安定的で軽負荷運転でも良好な電力を供給できるということ、排気に含まれる一酸化炭素の量をかなり低減できるため環境負荷が小さいこと、冷却水設備が必要になり大型・重量が大きくなるなどといった点があります。
ディーゼル非常用発電機とガスタービン非常用発電機の違いとしては、500kVA以下の小中規模の建物ではディーゼル発電機、500kVA以上の大規模の建物ではガスタービン非常用発電機が採用されるという違いがあります。
以上のように非常用発電機装置は我々の日々の生活の安全を守っていますし、安定的な電力供給を行ってくれているのです。