非常用発電機 燃料 交換 が必要となる理由

非常用発電機 燃料 品質(軽油・重油)6年交換を推奨

非常用発電機は、普段動かす機械でななく、定期的に電気設備点検で始動をした場合でも

5分程度の試運転です。

搭載される燃料タンクにある残燃料は、数年単位でとどまっています。

燃料も時間の経過と共に経年劣化をします。

経年劣化(品質劣化)した燃料は、燃料系統の故障トラブルを引き起こします。

この記事では非常用発電機の燃料交換が必要となる理由として、品質劣化した燃料が実際に

故障原因となる実例を記載しています。

特に注意が必要なBCP用途や長時間運転タイプ

BCP用途や長時間運転を想定した非常用発電機は、別置き燃料タンクのものが多く

390リットル~990リットルタイプのものが主流です。

普段の用途では使い切ることはないため、長期間燃料の交換をされていないケースが多くあります。

劣化した燃料が原因で、長時間運転が出来ない故障トラブルに見舞われてしまっては

折角導入した非常用発電機の役割を果たせない結果となります。

このため、計画的に燃料交換をメンテナンスに組み入れていくことが

燃料系統の故障トラブルを抑制します。

なぜ6年周期で燃料交換が必要なのか

結論から申し上げますと

燃料交換は6年以上を経過しても非常用発電機のエンジン始動はできます。

6年周期で燃料交換を推奨する理由は

燃料系統の故障リスクを軽減するためです。

燃料は空気に触れた段階から少しづつ酸化が始まります。

酸化(燃料の品質劣化)が進行しますと、後述する燃料系統の故障リスクを誘発します。

理想は毎年燃料交換となりますが、備蓄燃料が多くなるほど負担も大きいため

現実的には最長6年で交換を推奨します。

燃料のつぎ足しではダメ?

品質変化をした古い燃料と新しい燃料を混ぜるのはお勧めしません。

新しい燃料の品質劣化を早めること

つぎ足しでは、燃料系統の故障リスクを軽減する根本的問題の解決にならない2つの理由からなります。

燃料のつぎ足しで起きた実際の不具合事例

黒煙・白煙の異常な排気色

品質変化した燃料は燃焼効率が悪く、異常な排気色が出ます。

黒煙や白煙が止まらない場合には、燃料バルブなどの不具合にまで波及をしている場合があります。

酸化した燃料は燃料タンク内部を腐食します

酸化した燃料は防腐効果、防錆効果が失われ燃料タンク内部の錆を誘発します。

最悪のケースでは燃料タンク底面にサビにより穴が開きます。

燃料タンクに穴は開いていないが、長期間交換していない燃料を備蓄していた場合

非常用発電機のメンテナンスに合わせて燃料タンク内部の洗浄をお勧めします。

燃料タンクに穴が開いてしまった場合

燃料タンク本体の交換となります。

燃料タンクはパッケージメーカーが発電機に合わせて設計をしているため

受注生産品となり、想像よりも価格がとても高額になります。

年式の古い非常用発電機では、生産終了により交換ができない場合もでてきます。

燃料タンクに穴は開いていないが、内部にスラッジやサビがある場合

燃料タンク内部の洗浄メンテナンスをお勧めします。

タンク内部のサビや汚れが残っていますと、後述します燃料フィードポンプの不具合を引き起こします。

写真のこんな小さな端切れが燃料フィードポンプのフィルターに入っただけで

燃料フィードポンプの動きを悪くしエンジンが止まる症状を引き起こします。

非常用発電機 燃料 燃料噴射ポンプの固着

ディーゼルエンジンの心臓部は燃料噴射ポンプです。

非常用発電機は、普段から動かしている機械ではないため

燃料が長期間燃料噴射ポンプ内に留まります。

品質劣化した燃料は噴射ポンプ内の固着を招きます。

燃料噴射ポンプの修理は

アッセンプリー交換かオーバーホールの2択になります。

エンジンサイズにより価格は異なりますが、非常に高額な部品のため

部品代だけで数十万円~の価格帯です。

古い非常用発電機は部品供給が終了している場合も多くあり

この場合にはオーバーホールの選択になります。

小さい容量の非常用発電機の場合、取り外して現地でオーバーホールも出来ますが

容量が大きくなると、工場に持ち帰りのオーバーホールとなります。

いずれの場合にも修理には多額の費用負担が生じます。

非常用発電機 燃料 燃料フィードポンプの作動不具合

燃料フィードポンプとは

燃料タンクからエンジンへ燃料を吸い上げる部品です。

構造上、燃料タンクから燃料フィードポンプに送られる際

燃料フィルターは経由しません。

燃料フィードポンプにも小さなフィルターがありますが、少しでも小さなゴミがありますと

燃料フィードポンプの動きが悪くなります。

動きの悪くなった燃料フィードポンプは円滑に燃料を吸い上げられないため

エンジンが1~2分で息切れしたように停止します。

燃料フィードポンプの劣化が進行しますと燃料に空気が混入します。

ディーゼルエンジンは空気が混入しますと

燃料の圧縮ができないため、始動できなくなります。

燃料系統の戻り箇所でも、劣化した燃料が固着を招き空気混入を引き起こすことがあります。

定期メンテナンスで高額修理のリスクを大幅軽減できます

燃料交換時には、不純物をエンジンに入れない燃料フィルターの交換も必須です。

エンジンを搭載した非常用発電機は、使用頻度を問わず、有寿命部品は時間の経過と共に期待した機能が失われていきます。

高額な故障発生のリスクを軽減するには、年に1度のメンテナンスを実施し

メンテナンス計画の中で燃料交換も組み入れることで、長く安心してお使い頂ける環境が保たれます。