非常用発電機の負荷試験は2種類あります。実負荷と模擬負荷

負荷試験には2種類の試験内容があることをご存知でしょうか?今回は2種類の負荷試験について紹介し、どちらを行った方が良いのか考えてみたいと思います。

■負荷試験には2種類ある

負荷試験は、消防法で実施が定められている試験であり、実負荷試験と模擬負荷試験の2種類があります。それぞれの試験において、どのようなポイントをチェックするのでしょうか。

・実負荷試験とは

非常時に稼働が必要な設備や機器(消火栓・スプリンクラー・排煙設備・エレベーターなど)は、消防用非常用発電機と接続されています。これらの設備や機器を実際に動かし、負荷をかけて行う試験をさします。

・模擬負荷試験とは

設備や機器を動かすのではなく、発電機側のケーブルを一時的に外し、乾式ヒーター方式の模擬負荷試験機につなげて負荷をかける試験をさします。

■それぞれのメリットとデメリットとは

実負荷試験と模擬負荷試験には、メリットとデメリットがあります。それぞれの内容を比較してみましょう。

・実負荷試験のメリットとデメリット

実負荷試験では、設備を稼働させて負担をかけます。このため、発電機と設備の両方を同時に点検できる点がメリットです。

ただし、試験を行う際に、該当施設を一部もしくは全て停電させなくてはいけません。ビルや商業施設など、施設の種類によって停電が難しいと、実負荷試験は実施できなくなります。

また、設備が動いている中で負荷をかけると負荷が安定せず、消防法で推奨されている定格出力30%以上の負荷率に届かない可能性があります。これにより、発電機の内部に溜まっているカーボンや未燃焼燃料が十分排出されず、故障の原因になってしまうのです。さらに各設備に人員の配置が必要であり、人件費が高額になることもデメリットです。

・模擬負荷試験のメリットとデメリット

模擬負荷試験は、施設の設備とは別の設備で発電機に負荷をかけるため、施設の停電は不要です。負荷率30%を一定時間保つことができるうえ、万が一の災害に備えた試験の実施も問題なく行えます。負荷の追求・急変試験や連続運転などは、模擬負荷試験のメリットを活かした試験です。さらに、実負荷試験より少ない人数で実施可能で、最低2名で行うことができます。

模擬負荷試験のデメリットとして、各設備の点検が同時にできない点があげられます。また、模擬負荷試験のみを行う施工業者に対して、免許や資格などは求められないため、専門知識を持たない業者に依頼するのは大変危険です。