非常用発電機の負荷運転試験前の現場調査

お客様のご依頼により、非常用発電機の『消防点検に基づく負荷運転試験』の実施のご依頼を受けた場合
・ 現場の設置状況
・ 装置の状況
を確認する必要があります。

具体的に、現場設置の非常用発電装置を確認し、日頃から無負荷運転を繰り返している装置が
・過去に、メンテナンスがなされている装置であるかどうか。
・現状で、不具合箇所・故障機器などがないかどうか。(この状態で30%負荷運転を実施することに、リスクがないかどうか)

を見極める必要があります。

調査ポイント

その際の調査ポイントは下記の4つになります。

【潤滑油系統】

オイル量、オイル性状は問題ないか、特に、オイルの色相・臭気・粘性などを確認します。
問題のある場合は、オイル交換が優先されます。

【冷却水系統】

冷却水系統では、下記の項目を調査します。

・ラジエータ冷却方式の場合、クーラント濃度の低下はないか
・冷却水系統のラバーホースが経年で劣化(硬化)はないか。
(通常の無負荷試運転ではなく、負荷運転で冷却水温度が上昇したときに漏洩や破損の危険性があります。)
・冷却水サーモ弁は、正常に作動しているか

【燃料油系統】

燃料油系統を調査する理由は、

負荷運転を実施する目的の一つが、「通常は、無負荷運転を繰り返して不完全燃焼しているエンジン内部や排気管系統の未燃物の除去」であるためです。

燃料噴射弁の整備がなされていなければ、ますます不完全燃焼が発生し、本来の目的が達成できません。いざというときの負荷運転で白煙や黒煙の発生、最悪の場合「煙道火災」という事故を起こす可能性もあります。

また、燃料高圧管のクランプが経年で劣化(硬化)していないか調査します。
燃料ポンプで高圧に加圧された燃料油が、この高圧管を通って燃料噴射弁に送られます。タコの足のように曲がりくねった燃料高圧管は、エンジンの運転時の振動による繰り返し応力を受けています。少しでも亀裂や破孔が発生すると、高圧の燃料油が霧状に噴出し、排気管に掛かると、「火災事故」に至る可能性があります。

【その他】

他に調査するべきポイントとしては下記があります。

1つ目は、保護装置用各センサーです。

保護装置用各センサーは、エンジン運転中に、潤滑油の圧力低下や冷却水の温度上昇といった異常を検知したとき直ちにエンジンを停止させ、損傷から守るための重要なセンサーです。それぞれのセンサーの単体動作試験や設定確認調整、交換などが必要となります。

2つ目は、発電機や各電気系統の絶縁抵抗です。これらに問題がないか確認します。