【ガスタービン非常用発電機】
原動機を搭載した非常用発電機には
ディーゼルエンジンとガスタービンの大きく2つの種類があります。
ディーゼルエンジンとガスタービンを比較したメリットとデメリットをまとめました。
ガスタービンでよく間違われるのは
ガスタービンとは燃料のことではなく動力源の違いです。
重油やディーゼルでもガスタービン式の発電機はございます。
非常用発電機:ガスタービンとディーゼルの比較
ディーゼルエンジン搭載 非常用発電機
非常用発電機に搭載されているディーゼルエンジンは小型のものはトラクターから
大型発電機になると船舶用エンジンまで、耐久性の求められる分野の幅広い産業に使われいます。
ディーゼルエンジンは多くの産業への汎用性も高くそのため丈夫で高い信頼性が特徴です。
非常用発電機(ディーゼルエンジン)のメリット
最大のメリットはコストと耐久性
エンジンは発電機以外にも産業用に展開し共通部品が多いため部品代は安価
エンジンの耐久性が高い
本体価格・ランニングコストとも安価
非常用発電機(ディーゼルエンジン)のデメリット
音や煙などディーゼルエンジン特有の構造的な問題
構造的にピストン運動のためエンジン音と振動が大きい
軽負荷運転に適していないので、軽い負荷運転時には黒煙など未燃焼カーボンができやすい
オイル消費量が多くなる
平成30年6月の消防法改正に伴い、非常用発電機に義務付けられている負荷試験において
ガスタービンエンジンは免除されているが、ディーゼルエンジンには免除されていないため、引き続き負荷試験の実施が必要
ガスタービンエンジン搭載の非常用発電機
非常用発電機(ガスタービンエンジン)のメリット
発電される電気の品質安定性と排気色
ディーゼルエンジンに比べて騒音や振動は低い
燃焼効率が高いため、黒煙は少なく、排気はクリーン軽負荷運転にも対応でき、発電が安定している
データセンターなど高い電力品質を求められる機器を電源バックアップしたい場合に採用されます。
黒煙やばい煙規制の厳しいエリアでもディーゼルに比べ設置しやすい
平成31年6月の消防法改正に伴いガスタービンの負荷試験は免除されました
非常用発電機(ガスタービンエンジン)のデメリット
とにかくコストが高い高級品
ガスタービン本体の価格が高い
重油・ディーゼル燃料の消費量はディーゼルエンジンの2倍
発電機本体は小さくても、燃料を貯蔵するタンクを大きくしなければならない
点検・整備コストを含む維持管理先がメーカー一択になりコスト管理が難しい
排風圧はディーゼルエンジンに比べ強く排風口は場所を選ぶ
民間施設では圧倒的にディーゼル発電機のシェアが高く、ガスタービンは少数派になります。
納入後の点検・メンテナンスの維持管理費用の比較
ディーゼル、ガスタービンどちらも納入後に点検メンテナンスが必要となることは変わりません。
非常用発電機の初期投資
発電機の本体価格+付帯工事費用の総額がイニシャルコスト
非常用発電機の維持管理費用
納入後の点検・整備・メンテナンス・修理の総額がランニングコスト
初期投資はガスタービン発電機の方が高くなります。
非常用発電機の場合、納入から20年前後の長い期間を設置されるため
イニシャルコストよりもランニングコストを合わせた総額計算が重要になります。
ランニングコストの比較
ディーゼルエンジン<ガスタービンエンジンとなり
ガスタービンはイニシャル・ランニングコストとも高くなります。
ガスタービンエンジンの非常用発電機は
導入後の維持管理コストの観点からディーゼルエンジンの非常用発電機に比べて不利になります。
ガスタービンは流通量が少なく、補修部品の供給もメーカー代理店独占となるため点検整備に掛かるコストの比較競争ができない構造になります。
ディーゼル発電機とガスタービン発電機の販売比率は9:1です。
圧倒的にディーゼル発電機の方が流通しているため
補修部品を市場から入手することができ、メーカー以外でも発電機を専門に行う修理会社へ依頼のもと整備対応できます。
反対に
ガスタービンは、メーカーしか修理出来ない(補修部品を出さない)ため
メーカー主導の価格となりどうしても保守や整備に掛かるランニングコストが高くなります。
また、古くなるとメーカーから修理できない回答或いは
高額修理の見積もりとなる場合、他社に修理を依頼できないことから
更新以外の修理する選択肢は無くなる形となります。
更新をする際に
施設の要求仕様(サーバーなどガスタービン品質の電力品質や発電機室が狭いなど)
に制約がない場合には、今回の記事でご参考になれば幸甚です。