非常用発電機は停電対策として重要です
地震や台風、火災といった災害・事故が発生すると、電力供給が絶たれ停電してしまうことがあります。このような状況では、工場や店舗などの業務がストップするだけでなく、防災設備の停止により被害が拡大しかねません。そんな時に備えて用意しておきたいのが「非常用発電機」です。ここでは、非常用発電機の重要性や種類について解説します。
■非常用発電機って何?
非常用発電機とは、何らかの原因で停電が発生した時に稼働し、建物に電力を供給してくれる設備です。非常用発電機があれば、事故や災害によって建物への電力供給が絶たれたとしても、普段通り電気機器を使うことができます。災害の多い日本においては、非常に有用な設備です。
主な設置場所としては、工場やオフィスビル、商業施設、病院などが挙げられます。停電が起きると工場やオフィスは操業・営業不能になり、大きな損失を出してしまうでしょう。病院や福祉施設であれば、患者や入所者の治療・生命維持に支障をきたしかねません。非常用発電機があればこれらのトラブルを防ぎ、電力が復旧するまで持ちこたえることができるのです。
また、スプリンクラーや消火栓、排煙設備といった消防用設備も、停電すると作動しなくなる場合があります。地震によって火災が発生し、その上停電で消防用設備が動かないという事態になれば、火災の被害が大きく拡大してしまうでしょう。そのため、一定以上の規模の施設においては、消防用設備とつながる防災用発電機の設置が法令により義務付けられています。
■非常用発電機の種類とメリット・デメリット
非常用発電機には、大きく分けて「ディーゼルエンジン非常用発電機」と「ガスタービン非常用発電機があります。それぞれメリットもあればデメリットもあるため、建物の種類に応じた使い分けが大切です。2種類の非常用発電機の特徴を確認しておきましょう。
・ディーゼルエンジン非常用発電機
燃料を燃焼させ、ピストン運動でエネルギーを得る発電機です。契約電力が500kVA(キロボルトアンペア)以下の、小中規模の建物で主に採用されます。
機種が豊富なため、小型から大型まで幅広い出力に対応できます。本体価格・燃料コストともに安価で発電効率もよく、メンテナンスも容易です。一方、ラジエーター(冷却装置)を必要とし、排気ガスの煙や振動による騒音が多く出るといった欠点もあります。
・ガスタービン非常用発電機
燃料の燃焼による高温のガスでタービンを回し、エネルギーを得る発電機です。契約電力が500kVA以上の、大規模な建物で主に採用されます。
ディーゼルエンジンよりも小型化が可能で冷却水を必要とせず、騒音・振動・排気ガスといった問題も少ないのが大きなメリットです。ただし本体価格や燃料価格、メンテナンスコストは高く、発電効率もよくありません。民間の施設においてはディーゼルエンジンが主流です。
■点検義務に基づき、非常用発電機は定期的にメンテナンスしましょう
非常用発電機はただ設置すればいいわけではなく、設置後の定期的なメンテナンスも重要です。せっかく設置しても、いざという時に正常に稼働しなければ何の意味もありません。そのため法令でも、非常用発電機の定期メンテナンスが義務付けられているのです。
基本的な点検内容としては、負荷試験または内部観察を6年に一度行います。また、その間の5年間は毎年、予防的保全策・負荷試験・内部観察の3種類のいずれかを実施します。つまり、大掛かりな点検は6年に一度でいいものの、毎年何らかの点検をしなければならないのです。
もし非常用発電機の定期メンテナンスを怠り、災害時に正常稼働せず被害が広がった場合は、施設側の責任問題になってしまいます。被害を受けた周辺施設から損害賠償を請求される可能性もあるため、定期メンテナンスは確実に実施しなければなりません。不明点や不安な点がある時は専門業者に相談し、メンテナンス計画をしっかりと立てましょう。