火災から身を守る対策
一般の住宅では、毎年多くの火災が発生しており、調理器具や暖房器具、たばこをはじめ、電気機器や配線器具の誤った使用による「電気火災」等、火災の発生原因は日常の中に多くあります。例として、電気ストーブに布団等が触れて発火したり、束ねた延長コードが熱を持って発火するケース等が挙げられます。
- 火災は、空気が乾燥しているときに起こりやすく、さらに風が強いと燃え広がりやすい。
- プラグとコンセントの隙間のほこりや湿気が原因となり、出火することがある。
- 長年の使用によって劣化した電化製品が発熱・発火し、火災の原因になることもある。
- 発泡スチロールやウレタン等の断熱材、プラスチック製品が燃えたときは、木材に比べて多くの煙が発生する。
- IHクッキングヒーターでも、加熱する力によって、少量の天ぷら油から火災につながる危険がある。
総務省消防庁「令和2年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」をもとに2022年9月作成
総務省消防庁の「令和2年(1月~12月)における火災の状況(確定値)」によると、建物火災の出火原因は、「こんろ(14.1%)」「たばこ(9.6%)」「電気機器(6.3%)」が多くなっています(放火を除く)。そして、「配線器具(5.5%)」「ストーブ(5.4%)」が続きます。
燃えている天ぷら油に水をかけると、炎が急激に拡大し、油も飛散するため大変危険です。初期消火では住宅用の強化液消火器を使用することが望ましいです。鍋を濡れたシーツやバスタオル等で覆うことで、空気を遮断する消火方法もありますが、炎でやけどをしてしまうなど危険もありますので、十分注意して行う必要があります。
火災で忘れてはいけないのが、煙の恐ろしさ。実際に火災の死因では、火傷に次いで一酸化炭素中毒・窒息が多くなっています。建物内で煙が充満しつつあるときは「ほふく前進」に近い体勢になり、鼻や口をハンカチ等で覆うなどして避難しましょう。
電気コードは、配線に用いる電線と比べて許容電流が小さく、多くの電流を流すと発熱や発火等の危険があります。さらに、釘やステップル等の器具で固定すると、コードの被覆や心線を傷つける危険があるため、火災につながるような配線や固定はしないようにしましょう。
ペットボトルや花瓶等、凹面状・レンズ状のものは、太陽光を反射または屈折させ、光が集中した場所にある可燃物を発火させる危険があります。太陽の高度が低くなる冬場に多く発生する傾向があるため、火災の原因となるものは、直射日光が当たらない場所に置くようにしましょう。
発災直後火災になりやすい原因を知る
建物火災の原因は、「こんろ」「たばこ」「電気機器」等の割合が多くなっており、ほかにも「配線器具」「ストーブ」等が挙げられます。コンセント等の電気設備からの出火や、人がいない部屋からの出火の原因には、ゴキブリやネズミ、ペット等も関連していることがありますので、建物内外の環境に注意しましょう。
事前準備火災が起きにくい環境作りを心掛ける
家の中や周囲等は、あらかじめ火災が起きにくい環境作りを心掛けましょう。ストーブの周りに物を置かない、ライターやマッチを子どもの手の届く場所に置かない、コンセントの掃除を心掛ける、寝具やエプロン、カーテン等は防炎品にする、家の周りに燃えやすいものを置かないといった対策が住宅防火につながります。
事前準備消火器の正しい使い方を知る
消火器を使用するときは、安全ピンを外し、ホースを火元に向けて、レバーを強く握って噴射します。住宅用消火器には、紙や木材、布等が燃える「普通火災」のほか、天ぷら油で起こる「天ぷら油火災」、電気コード等で起こる「電気火災」等、適応する火災が絵で表示されていますので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。
発災直後もしも火災が起きたときに取るべき行動
火災が起きたときは、まずは大きな声で周囲に火災を知らせ、落ち着いて119番通報をします。煙を吸わないよう、姿勢を低くし、ハンカチ等を鼻や口に当てて避難しましょう。もし炎が天井に燃え移ってしまった場合は、初期消火は止め、炎が燃え広がる前に、迷わず素早く避難してください。