定期的な消防設備点検の実施と報告書の提出が、消防法で義務付けられています
マンションや学校、病院や映画館など、私たちの周りには大きさや種類の異なる建物が立ち並んでいますが、消防設備点検は、建物の大きさや種類にかかわらず「消防設備の設置が義務付けられているすべての建物や施設」で実施する必要があります。
消防法第17条において、消火器や火災報知器等の消防用設備等を設置することが義務付けられている建物の所有者・管理会社等の管理者・入居者等の占有者は、消防設備士または消防設備点検資格者による点検の実施と、その結果を消防長または消防署長に報告することが義務付けられています。
また、点検結果の報告を怠ったり、点検を行っていないにも関わらず虚偽の報告を行った場合は、30万円以下の罰金または拘留が科せられるため、定期的な消防設備点検はもちろん、報告書の提出までしっかりと行うことが大切です。
第十七条の三の三
第十七条第一項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等(第八条の二の二第一項の防火対象物にあつては、消防用設備等又は特殊消防用設備等の機能)について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
第四十四条十一号
第十七条の三の三の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。
消防設備点検を
実施・報告していないと、
火災時に損害保険が
不適用となる可能性があります
どれだけ多くの消防設備を設置していても、日常には、火災事故が発生してしまう可能性が潜んでいます。そのような場合に頼りになるのが損害保険(火災保険)ですが、損害保険というものは、日頃から正しい使い方や管理がなされていることが前提で適用されるものです。例えば、あなたの運転している車が事故を起こしたとしても、違法な改造を行っていたり、車検が未整備の車の場合は、損害保険が適用されない可能性があります。
これは、火災事故が発生した場合でも同様で、損害保険に加入していたとしても消防設備の点検や消防署への報告、適切な設置を行っていなければ保険金の支給対象外となってしまいます。そのため、消防設備の動作確認のためだけではなく、万一の場合に損害保険が適用されるためにも、定期的な消防設備点検の実施と消防署への報告を行うことが大切です。
火災報知器やスプリンクラーなどの消防設備が正常に作動しなかったことが原因で避難や初期消火が遅れてしまい、被害が拡大した例は過去に数多く存在します。消防設備は、私たちが日常的に使用する水道や電気などとは異なり、普段使用することがないため、劣化が進んでいたとしてもなかなか気づくことができません。しかし、消防設備が正常に作動しなくなってしまうと、避難誘導や消防活動の遅れなど、被害の拡大につながる恐れがあるため、いつ起こるかわからない火災事故に備えて定期的な消防設備点検を実施し、常に十分な消化機能が発揮できる状態でなければなりません。
また、消防設備は、部屋や建物の用途や間取りにあわせて有効に作動するよう法規に従って設置を行っています。そのため、部屋の模様替えや部屋や建物の用途変更など、建物に関するレイアウトを変更した際は、必ず消防設備の設置場所の見直しを行いましょう。