太陽光発電なら停電しても電気が使える!

太陽光発電は、自然災害などで停電が発生したときにも安心感を高められるシステムのひとつです。現在では広く知られているものの「具体的にどのような方法で活用するのかわからない」と感じる方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、停電発生時に電力を供給する方法や稼働できない家電など、詳しい情報を解説します。発電設備や蓄電池を設置する手順を知るきっかけにもなるでしょう。後半では取り付け業者の選び方も紹介します。

停電時は自立運転への切り替えが必要

自立運転機能・連系運転機能の両方が備わったパワーコンディショナであれば、停電中も電力の供給が可能です。実際に利用するには手動での切り替えが必要となるケースもあるため、万が一の事態でも冷静に対処できるよう方法をおさえておきましょう。機能の違いと操作方法を詳しく解説します。

自立運転と連系運転とは

太陽光パネルで生まれた電力を変換させる機能のあるパワーコンディショナには、連系・自立と2つの運転機能が備わっているケースが一般的です。それぞれ以下のような違いがあります。

・連系運転:電力会社への売電が可能な状態

・自立運転:売電せずにそのまま自家消費できる状態

通常稼働する際の状態は連系運転です。電力会社から不足分を買電したり、余剰電力を売ったりできる状態と考えましょう。配電が停止した場合、連系運転の状態から単体での稼働が可能な自立運転へ切り替える必要があります。

ただし、機器によっては自動切り替えに対応しているかもしれません。すでに導入している方は取り扱い方法を確認してみましょう。未導入かつ手動が苦手な方は、自動操作が可能な機器を探せると安心です。

【停電時】自立運転への切り替え方

運転機能の切り替え方法は、取扱説明書に記載されています。機器によって流れは異なりますが、以下の工程を参考にしましょう。

・主電源と太陽光発電それぞれのブレーカーをオフにする

・説明書を見ながら自立運転モードに切り替える

・自立運転用のコンセントに使いたい機器を接続する

自立運転時に利用できるコンセントの設置場所はさまざまです。パワーコンディショナが屋外にある場合、機器の側面のほか、機器近くの外壁、部屋や廊下にも設置されることがあります。屋内の場合は本体内蔵のものが多い傾向です。

なお、コンセントは「非常用」などと記載されています。普段のコンセントからは供給されないため設置場所を把握しておきましょう。

【復旧時】連系運転への戻し方

復旧し、通常どおり電気が使えるようになったあとは連系運転に切り替えましょう。一般的な流れは以下です。

・コンセントに接続した機器を抜く

・自立運転モードを解除する

・太陽光発電のブレーカーをオンにする

・主電源のブレーカーをオンにする

具体的な方法は説明書に書かれています。順番が前後するとトラブルにつながる可能性もあるため、慌てずひとつずつ確認しながら実行しましょう。切り替え後はこれまでと同じように電気を使用できます。

停電時に動かせる家電と動かせない家電

非常用として活用できる自立運転機能ですが、すべての機器を稼働できるわけではありません。接続するとダメージを与えるリスクもあるため、動かせるかどうか把握してからスイッチを入れましょう。リスクが高い家電だけでも理解しておくと安心です。自立運転機能で対応できる家電、できない家電をそれぞれ紹介します。

動かせる家電

稼働中の消費電力が少ない家電であれば、停電中でも使用できると考えてよいでしょう。以下が代表的な例です。

・テレビ

・ラジオ

・扇風機

・スマートフォンなどの充電器

情報収集のためのラジオや、スマートフォンの充電に使う機器は稼働できます。冷蔵庫は消費電力が大きいため、避けたほうがよいでしょう。あらかじめ停電機能が付いている場合は、コンセントに接続しても問題ありません。安全に使うためにも説明書を確認してから実行に移しましょう。

動かせない家電

住宅内で消費する電力量が発電量を上回ると、接続された機器を使用できなくなります。突然の切断によって命を脅かすものや、情報などの財産を失うリスクがあるものは接続を避けましょう。以下が動かせない家電の一部です。

・医療機器

・ガス・灯油を用いた暖房機器

・電気コンロ

・パソコンなどの情報機器

・調理器具(電子レンジ・炊飯器など)

以下の家電は消費電力も少ない傾向にありますが、稼働開始直後の消費量が増幅しやすいといわれています。

・食器洗い乾燥機

・冷蔵庫

・洗濯機

・ヘアドライヤー

掃除機や蛍光灯は性能や相性も関係するため、優先順位の見極めも大切です。むやみに稼働させて浪費しないよう、復旧までの時間や夜間の過ごし方なども考慮しながら慎重に使いましょう。

太陽光発電がわかる資料閲覧

太陽光発電は災害時だけでなく経済的でエコロジー

非常時の備えとしてだけでなく、環境面・経済面といった観点でもメリットを受けられるのが太陽光発電の特徴です。発電した電力は住宅内で自家消費できるため、電気料金削減につながります。近年では電気料金の値上がりも話題になることも多くありますが、負担増幅の結果を避けるためにも役立つでしょう。

また、太陽光は永久的に得られるともいえる自然エネルギーです。有害物質を放出しながら発電するシステムではないため、大気汚染・地球温暖化を防止する役目も担っています。

停電した夜に頼りになるのは蓄電池

太陽光発電の自立運転機能で稼働できる家電が限られたり、天候に左右されたりといった点に不安がある方には「蓄電池」の導入がおすすめです。太陽光発電設備だけでは溜めておけない電力を蓄えられるため、停電中の供給時間を長くできます。時間の目安や蓄電池の容量など、一般的な導入例を参考に活用方法をシミュレーションしてみましょう。

蓄電池は災害対策になる

発電した電力を蓄え、太陽光発電設備で発電できない時間帯にも電力を活用できる点が蓄電池のメリットです。蓄電池単体で電力会社から買電する方法もありますが、太陽光発電の設備があるご家庭ならばより有効的に活用できます。

発電時に消費しなかった電力を蓄えることで、災害などの停電中にも時間を問わず電力消費が可能です。供給量はあらかじめ蓄電されている電力量や容量によって異なりますが、ある程度の災害に耐える力は発揮できるでしょう。

太陽光発電+蓄電池で耐えられる時間の目安

停電発生の時間帯が日中の時間帯だけで済めば、太陽光発電からの供給と蓄電量で電力をまかなえます。しかし、雨天時や夜間は十分な発電量を得られないため蓄電池のみでまかなわなければなりません。このように、条件によって耐えられる時間が変動する点に注意しましょう。

家庭用太陽光発電施設で多く見られる5kWh前後の設備では天候がよければ、1日の大半の使用に耐えられる可能性があります。消費量に配慮して節電を心がけると、さらに長時間稼働できるでしょう。天気と蓄電量の条件がそろえば停電中も安心して過ごしやすいといえます。

これまでの災害の平均的な停電時間は?

2020年3月までに発生した災害を見てみると、停電発生から復旧までの平均期間はさまざまです。2018年に発生した北海道胆振東部地震は電力供給復旧まで特に長期に渡ったため、停電に対する不安を増幅させるきっかけになったケースともいえるでしょう。

上記は2018年中に発生した停電ですが、早期の場合は2時間で解消しています。復旧までにかかる時間は1週間程度が平均的な数字です。

(参考:『平成30年度に発生した災害とその対応』https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/hoan_shohi/pdf/002_02_00.pdf

停電に耐えられる蓄電池の容量

1か月単位で消費する電力量は、家庭の人数や住宅の規模によって異なります。2人以上の世帯の平均的な電気代である月々1万円程度であれば、消費電力は1日あたり12kWh程度です。適切な蓄電池の容量は5kWh~10kWh程度が目安になります。実際に導入する前には明確なシミュレーションが必要となるため、ひとつの基準として参考にしましょう。

停電発生中は、普段よりも消費量を抑えることで供給時間を延ばすことが期待できます。「万が一のときにどのくらい消費したいか」をもとに容量を決めるのもおすすめです。