非常用発電機の負荷試験(点検)はお済みですか?

法令で定める非常用発電機の設置義務のある施設例

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平成30年6月1日に、自家発電設備の点検方法が改正されました

平成30年6月1日、自家発電設備の点検方法が下記のように改正されました。
(消防予第373号)

改正の4つのポイント

  1. 総合点検における運転性能の確認方法は、負荷運転または内部観察等
  2. 負荷運転の実施周期は、運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は6年に1回
    ※ただし、潤滑油等の部品交換など、運転性能の維持に係る予防的な保全策が毎年講じられている場合のみ(予防的な保全策が毎年講じられていない場合は、負荷運転もしくは内部観察等の点検は毎年となります)。
  3. 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備の負荷運転は不要
  4. 換気性能の点検は無負荷運転時に実施

点検周期はどうしたらいいのか?

法改正により、負荷点検に替わる点検方法と実施周期が明記されました。作業時間や実施費用の観点から1年に1回負荷試験を実施することが、設置者にとって最良の選択であることが言えます。

点検の周期の選択肢

1年目2年目3年目4年目5年目6年目7年目
負荷点検
または
内部観察等
負荷点検
または
予防的な保全策
負荷点検
または
予防的な保全策
負荷点検
または
予防的な保全策
負荷点検
または
予防的な保全策
負荷点検
または
予防的な保全策
負荷点検
または
内部観察等

※既存設備で過去に負荷点検を実施していない場合

非常用発電機3つの点検方法の比較

点検種別予防的保全措置点検内部観察等負荷試験点検
点検内容部品・油脂類の定期交換原動機交流発電機制御装置始動装置燃料タンク等予熱栓プラグキャップ冷却水ヒーター潤滑油プライミングポンプ分解整備点検シリンダ摺動面のファイバースコープによる内部観察過給器コンプレッサ翼、タービン翼の内部観察冷却水の成分分析潤滑油の成分分析排気管出口の可とう管継手を外して内部確認燃料噴射弁等の動作確認発電機試運転による状態確認負荷試験機を用いて負荷率30%の負荷運転による発電機の性能確認
発電機の性能確認不可不可
作業時間約7時間約56時間約1時間30分
作業中の停電対策必要必要不要

※発電機出力125KVAの場合

改正により、罰則規定が強化されました

非常用発電機の整備不良(未点検実態)を重く見た行政が、火災被害の軽減に向けて火災予防対策の実効性向上を図るため、平成24年6月に罰則規定を追加しました。
罰則を受ける対象者は、法人および法人の代表者・従業員等で、代表者だけでなく、防災担当の任命を受けた担当者まで罰則の対象となりました。

法令による罰則等

法令対象罰則内容
電気事業法
※経済産業省
技術基準に適合していないと認められる発電設備の設置者
(電気事業法第40条)
技術基準への適合命令または使用制限
建築基準法
※国土交通省
検査報告をしない者または虚偽の報告をした者
(建築基準法第101条)
100万円以下の罰金
消防法
※総務省
点検報告をしない者または虚偽の報告をした者(消防法第44条11号)
上記従業者等の法人(消防法第45条3号)
30万円以下の罰金または勾留
最高で1億円の罰金および刑事責任

緊急時に発電できないと、重大な二次災害を招きます

2011年の東日本大震災では、燃料切れや津波等を除いて、非常用自家発電設備の機能を発揮できなかった不具合の多くが、点検・整備不良に起因するものでした。
非常用発電機が正常に発電できないと、人命に関わる重大な二次災害を招きます。人命とライフラインを守る自家発電機の負荷点検はユーザー(設置者)の義務と言えます。

スプリンクラーと火災
  • エレベーターが動かず避難できない
  • スプリンクラーが作動しない
  • 人工呼吸器が動かない
  • 消火活動が行えない
  • 水道が出ない

よくいただくご質問

Q1.負荷試験を行わないとどうなるのでしょうか?

A1.負荷をかけた点検をしないと法令違反となり、消防署より指導が入ります。但し、負荷試験に代わり、内部観察等を実施することも可能です。いつ起きるかわからない非常時のために負荷試験の費用などかけていられない法律では点検結果を報告しない、または虚偽の報告をした者は30万円以下の罰金または拘留、その法人に対しても同様の罰則が適用されます。

Q2.火災保険に加入しているし問題ないのでは?

A2.消防用設備等の点検が未実施の状態で、災害時に非常用発電機が稼働せずに被害が 拡大した場合は火災保険が適用されない、または減額される可能性があります。
また、人的被害が多大な場合、最高1億円の罰金が科せられます。

Q3.負荷試験などしなくても消防署は年1回の「総合点検報告書」を受理してくれている。

A3.負荷運転もしくは内部観察等が未実施での報告書は受理しない消防署も出てきています。規制強化の流れを受けて、点検事業者がユーザーに、負荷試験を提案するようになりまし た。
消防庁では東日本大震災等の反省、また地下直下型地震等の大型災害に備え、更なる 指導強化の方向で進んでいます。