非常用発電機は、火事や停電の際に消防設備を動作させるために必須の設備です。私たちは、いざというときに非常用発電機が問題なく動作し、初期消火が迅速に行われることで、より多くの人命が救われることを企業理念としています。
非常用発電機の定期点検は、法令で定められています。
今この文章を読んでいただいている方は設備業者様か、もしくはビルの管理会社様ではありませんか?
毎年行っている消防設備点検の中に、非常用発電機の点検項目があるのをご存じでしょうか。この項目についても法令で点検が義務付けられています。
現在の法令では、1000㎡以上で不特定多数の人が出⼊りするような建物の非常用発電機は、定期的な点検が義務付けられています。ですが実際には、「非常用発電機の点検を毎年行えていない」という建物が数多くあります。これはコンプライアンス違反となりますの迅速に改善が必要です。
事実、消防署では点検義務のある建物の⽴ち⼊り検査をしており、このコンプライアンス違反に対して厳しい対処をしています。
最悪のシナリオ「災害→停電→火事」 初めの30分で安全な避難を
消防用設備とは、スプリンクラー、水噴霧消火設備、消火栓ポンプ、警報機、非常用ランプなど、消火・警報・避難に関わる設備のことをいいます。ちなみに非常用発電機は、消防用設備の中の設備の⼀つです。
この消防用設備は毎年点検する必要があり、実際にこの「消防設備点検」については多くの建物で実施されている点検項目です。
スプリンクラーなどが動作するには電源が必要です。火事が起こった場合、初めの30分が⾃⼒で避難できる最低限の時間とされていますが、この30分間の電⼒を供給できるのが非常用発電機です。
「災害→停電→火事」といった最悪のシナリオでは、避難が遅れて多くの人命の犠牲の可能性は否定できません。残念ながら災害時は悪いことは重なって起きる傾向にあります。初めの30分間の電源を確実に確保し、消防設備がしっかりと動作することで、避難が安全に行えます。また、初期消火によって⼤規模火災の予防にもつながります。
祖⺟の老人ホームで感じた「不安」
私の祖母は寝たきりの状態で、老人ホームに入居しています。後から知ったことですが、その施設は非常用発電機の定期点検はしていないようです。
老人ホームの場合、火事などになった場合、スプリンクラーなどで最初の消火が確実に行われないと、入居者は非難ができずに巻き込まれてしまいます。 スプリンクラーなどの消火設備は電気で動きます。つまり火事で電気がショートしている場合はスプリンクラーは動きません。
人の命に直結する問題なので、私はこの問題を重く考えています。
施設を利用する側の視点で考えたとき「非常用発電機が確実に動作する」のは非常に重要なことだと思っています。これは、私が負荷試験の普及に取り組む理由でもあります。
非常用発電機の運動性能を確認する「負荷試験」
「負荷試験」は簡単に説明すると、「非常用発電機が、災害時に必要になる電力を作ることができるか試験する」ということです。
部品の点検や交換だけでは、有事の際に動作できる保証がありません。自動車の場合、毎日実際に運転していればわざわざ運転試験は必要ありません。ですが、非常用発電機はめったに運転しないので、最低でも1年に1回は負荷をかけた動作確認が必要になります。
負荷試験は、発電機を無負荷で始動する「空ぶかし」ではありません。発電機に擬似的に負荷をかけることで、実際に接続されている消防設備に電力が供給される発電能力があるかをチェックします。専用の負荷試験装置を非常用発電機に接続し、各数値を測定することで、実際の動作に耐えれるかを試験します。
弊社では、30%の負荷をかけた上で、30分の動作確認をしています。急に負荷をかけると故障するリスクがありますので、10%から20%、そして30%と段階的に丁寧に負荷をかけていきます。
運転時間は、特に法令で決まりはありません。業者によっては低い負荷で、10分で済ませる会社もあります。弊社では実際の負荷電力と同等の負荷(30%の負荷)をかけます。また、非常時に必要な避難時間ということで、最低30分の動作を確認しています。
また、ディーゼルエンジンで作られている発電機は、燃焼しきれずゴミのようにたまっているススやカーボンが蓄積されています。30%の負荷で30分運転し、エンジンの温度を380度以上にすることで、ゴミを燃やしたり排出したりしてデトックスのような効果もあります。