【非常用発電機の負荷試験】2種類の方法を解説します

非常用発電機負荷試験の方法は、消防法により定められています。

模擬負荷装置、実負荷等により、定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行い確認する。

このように負荷試験には

  • 実負荷試験
  • 模擬負荷試験

の2つがあり、法律上はどちらの方法でも問題はありません。

実負荷試験と模擬負荷試験、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるので説明します。

実負荷試験とは

実負荷試験は非常時に電力を供給する設備を利用します。

消防用の非常用発電機にはスプリンクラーや消火栓などの消防機器や、エレベーターなど非常時に稼働する設備がつながっており、その設備を実際に稼働させて負荷をかける方法です。

実負荷試験のメリット

実負荷試験のメリットは各設備の点検も同時に行える点です。

試験の際に施設内の設備を稼働させて負荷をかけるため、各設備が正常に稼働するかを同時に点検ができます。

実負荷試験のデメリット

実負荷試験にはデメリットが複数あります。

・施設の停電、もしくは瞬停が発生する

実負荷試験では施設内の設備を利用するため、全館停電もしくは瞬停が発生します。施設の性質で停電が許されないケースでは実負荷試験で対応できません。

・負荷率が安定しない

負荷が安定しない点もデメリットです。

負荷試験では定格出力の30%以上の負荷で一定時間連続運転を行うよう定められています。負荷運転の時間はとくに定めがありませんが、一般的には15~30分程度行います。

しかし実負荷試験では負荷が安定せず、長時間30%以上の負荷を維持することが困難です。これはエレベーターやポンプを動かして負荷をかけているからで、これらは一定の速度で動かし続けるのが困難なため、負荷が安定しません。

・大人数対応になる

稼働させる各設備に人員を配置するため、大人数での対応が必要です。

人員を配置するには当然人件費が発生するため、試験の費用が高価になる恐れがあります。