自家発電設備の点検について

非常用発電設備の点検等の基準について、詳しくご存知のない方が多いのではないでしょうか。本日は、そのあたりをご紹介します。

電気事業法、消防法、建築基準法において、各々の目的に応じた基準が定められています。以下の表の通りです。

各法令による自家発電設備の点検の基準等
電気事業法令消防法令建築基準法施行令
対象設備非常用自家電設備常用自家発電設備非常用自家発電設備非常用自家発電設備
点検基準保安規程非常電源(自家発電設備)点検基準(告示)非常電源(自家発電設備)点検要領(通知)告示283号(非常用エレベーター)告示285号(排煙設備非常用照明装置)
点検内容(※1)日常巡視・日常点検(1日~1週)定期点検(半年~1年)精密点検(2年~5年)機器点検(半年)総合点検(1年)定期検査、定期点検(1年以内又は2年以内)
報告書等------------------------消防用設備点検結果報告書非常電源(自家発電設備)点検票定期検査報告書定期検査概要書検査結果表
点検報告------------------------特定防火対象物に設置の物(1年に1回)非特定防火対象物に設置の物(3年に1回)半年~1年の間隔
点検者等------------------------消防設備士消防設備点検資格者消防長が指定するもの建築士建築設備検査資格者

※1.保安規程で定める基準としての例を出す。
※2.自家発電設備専門技術者等が該当する。

このように法令によって定められているのは、皆さんの“あんしん”を自家発電設備が守る事になりますから、 その守る設備が万全でなければ、“あんしん”どころではなくなってしまいます。
ですので、この基準に沿った管理を自家発電設備に行うことが重要になります。

また、発電設備のなかでも特に消防用設備の非常用電源として用いられるものについては、消防法令によって点検の種類、方法及び基準などが具体的に定められています。 表2の総合点検の中で、負荷を容量の30%以上かける事と定められていますが、ほとんど実施されていないのが現状です。

無負荷で点検を実施すると、カーボンが堆積され、いざという時に動かないという事になってしまいます。 その結果、火災につながり、人的な二次災害へ発展してしまう事になりかねません。 又、コンデンサー等の劣化が生じる可能性も高くなり、その結果、オーバーホール修理が必要になってしまうなど、 無駄なコスト増にもつながってしまいます。

消防法令による自家発電設備の点検の基準等
種類機器点検総合点検
方法設備の正常な動作を確認する。機器の適正な配置、損傷の有無等を主に外観から点検する。設備の機能について、外観から又は簡単な操作により確認する。設備の全部若しくは一部を作動させ、又は使用することにより、
総合的な機能を確認する。
期間6ヶ月1年
基準等非常電源(自家発電設備)の点検基準(消防庁告示)
(点検項目、点検方法等の基本的内容等を規定)
非常電源(自家発電設備)の点検要領(消防庁通知)
(点検項目、点検方法等の基本的内容等を規定)
記録非常電源(自家発電設備)の点検票
(点検結果を記録する)
報告書等消防用設等点検結果報告書
(点検票を添付する)
報告消防用設備等点検結果報告書による消防機関への点検結果の報告は、消防用設備等が設置された次の防火対象物の種類に応じ、
防火対象物の関係者が行う。特定防火対象物(※)の場合・・・・・・1年に1回報告非特定防火対象物の場合・・・・・・・3年に1回報告※の対象物は、不特定多数の者、身体的弱者等が利用、収容される施設等を言う。
実施者消防設備士免状の交付を受けている者総務省令で定める資格を有するもの
(消防設備点検資格者)必要な知識技能を有する者として消防長が指定するもの
(自家用発電設備専門技術者)
罰則点検結果の報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、消防法第44条の規定により30万円以下の罰金又は拘留。
罰金等を受けた者が所属する法人についても、同法45条の規定により同額の罰金刑。

このように定められている点検を行うことで、皆さんの安全を守ります。 今一度基準をチェックし、自身や周りの人たちの安全を守り、安心を確保しましょう。

この記事によって、一つでも自家発電設備の事故が減れば幸いです。