ディーゼルエンジンの特徴
ディーゼルエンジン非常用発電機は、20kVA前後の小型機種から1,000kVAを超える大型機種まで多様なラインナップがある。断続的な燃焼による爆発ガスの熱エネルギーをピストン往復運動に変換し、クランク軸によって回転運動に変換するという機構で運転を行う。
ディーゼルエンジンの非常用発電機の分野では非常に広く普及しており、発電機の周辺装置を簡素化することができる「ラジエーター冷却」がよく選定される。冷却水槽を用いた水冷方式もあるが、水を循環するポンプやタンクの保守が煩雑となるため、あまり用いられない。
ディーゼル発電機は燃焼空気の排気に黒煙が多い、運転時の振動や騒音が大きいという問題があるが、比較的安価なため頻繁に採用される。周囲の空気環境に出力が調整されることは少なく、常に一定の出力を確保できる堅牢さも利点である。
ガスタービン発電機と比較して、潤滑油消費量が多い、軽負荷運転の効率が悪い、往復運動のため振動が発生するといった欠点がある。冷却装置の附置、据付面積が必要など、建築的な負担が大きくなるというデメリットもあるが、出力に対する燃料消費量が少ないという大きな利点があるので、大きなオイルタンクを用意することができないビルやホテル、マンションなどで広く用いられている。
長時間の軽負荷運転における注意点
ディーゼルエンジンを選定する場合、軽負荷運転による燃焼効率の低下に注意しなければならない。負荷が軽すぎる場合、燃料噴射圧力が低くなるため燃料が上手く燃焼せず、黒煙が多くなるという特徴がある。シリンダーやピストンの潤滑オイルが燃焼できる温度まで上昇せず、排気管からオイルが滴ることもあり、汚損が問題になることも多い。
軽負荷運転を長時間に渡って行った結果、煙道や機関内部に黒煙が多量に発生し、排気管にオイルが滴るような状況において、突然高負荷・全負荷で運転を行った場合、内部機構の故障につながることがある。そもそも非常用の発電機では、大きな消防負荷を始動することが求められるため、始動電流に耐えられるよう大きなサイズの発電機が計画されることになる。
ディーゼルエンジンを選定する場合、常に全負荷に近い運転ができるよう、余裕を持たせ過ぎない選定をすることも重要なポイントである。近年では負荷試験を行って消防機関に報告することが求められるため、負荷試験装置を接続して100%負荷運転を行い、安定した燃焼ができるかを確認できる計画が良い。