定期点検放置による発電機のトラブル例2

非常用発電機に必要なのは、私達プロの目と手による定期的・本格的なメンテナンスや整備は勿論ですが、発電機の一番近くにおられるお客様自身が発電機の調子を常に気にかけていることが最も重要であり、不良箇所の早期発見のための一番の近道と考えます。 以下に挙げているトラブル事例は診断させて頂いた結果一般的によく見つかるケースです。

冷却水配管・サーモスタットの劣化・水垢・錆・腐食トラブル

ゴム配管内の汚れ・詰まり

冷却水の腐食や水垢が原因で冷却水の配管が詰まります。配管が詰まってしまうと、正常にエンジンを冷却することができない以外にもサーモスタットにも影響が出ます。

エンジンオイル(エレメント)フィルタートラブル

オイルフィルター(エレメント)要交換

オイルフィルター(エレメント)を交換することで、オイルの中に溜まった不純物や機械屑などをフィルターにより除去し、詰まりなどを未然に防ぐ重要な効果があります。また、オイル漏れの原因として、パッキンの損傷なども考えれるため、オイル下がりが起こっている場合はオイル周りの点検も必要です。

オイル(燃料)漏れの原因

オイル漏れや冷却水などの漏れや混入の原因は軽微なトラブルから、重度のトラブルまで幅広いトラブルが考えられます。そのため、燃料漏れと一言に言ってもどのような状況で燃料漏れや燃料に冷却水が混入しているかにより、不具合の原因が明らかに変わります。特にディーゼル発電機のような大きなエンジンを搭載している場合、素人の判断ではトラブルの判断では、更に症状を悪化させてしまうため、異常を感じましたら、直ぐにご相談下さい。お客様から不具合状況をヒアリングさせて頂くことにより、場合によっては、早期対応でトラブルを最小限に予防することができます。

非常用発電機バッテリー(蓄電池)トラブル

膨張・水漏れ・電極板の錆び、劣化・結晶付着物

発電機のバッテリー(蓄電池)は災害発生時しか起動させることがないため、バッテリー(蓄電池)があがるなどのトラブルを起こしやすくなります。車と同様で定期的に負荷試験や定期点検を行わないとこのようなトラブルは必ず起こります。また、発電機のバッテリー交換には交換用のバッテリー(蓄電池)が必要なため手配するのに時間を要します。他にもバッテリー(蓄電池)からの液漏れや劣化なども起動時の不具合原因となります。

蓄電池(バッテリー)の交換と不具合

蓄電池(バッテリー)交換の目安は5年~7年です。勿論、気候や天候また、保存状態により変動します。環境により、蓄電池(バッテリー)の寿命が早まることもあり、2~3年で交換するケースもあります。エンジンが始動しない場合、蓄電池(バッテリー)だけの問題であれば、蓄電池(バッテリー)を充電し再度、使用することもできますが、一度、蓄電池(バッテリー)により電力供給ができなくなってしまったら、新品と交換することを推奨しています。一度、電力供給が行えなくなってしまった蓄電池(バッテリー)は新品の蓄電池(バッテリー)に比べ弱っているため、100%のパフォーマンスを出せなくなります。災害時に備え、不具合が見つかれば、新品の蓄電池に交換することを推奨しております。

非常用発電機の外部損傷例

外装の錆び・腐蝕

屋内型設置の発電機に比べ屋外型設置の発電機の外部損傷は天候に左右されやすく、雨や雪などの酸性雨により、錆やすくなります。また、外側から損傷が少ないように見えても中を開けると中は錆だらけで腐食しているということも珍しくありません。このような場合、大抵は非常時に発電機トラブルに見舞われ稼働しない場合がほとんどです。他にも外装の錆を放置しておくと、キュービクルに穴が空いてしまいます。

非常用発電機の排気管トラブル

排気管の詰まり

長期間にわたり、発電機を稼働させていないと排気管にも影響が出ます。排気管は野生動物の絶好条件です。排気管に巣を作られてしまうと、当然、排気ガスを完全に外に排出することができなくなり、事故の原因にります。定期点検や負荷試験を実施することで、盲点となりがちな排気管の状態に気づくことができます。

エンジンを始動しただけでは、全ての能力が発揮できるかどうかはわかりません

消防法点検と電気事業法点検は全く違います

電気事業法点検を実施しているから、「非常用発電機のトラブルはない」と思われている方もいらっしゃいますが、電気事業法点検と消防法点検の徹底的な違いは、電気事業法点検は「今、動くかどうか」に対し、消防法点検は「停電時や災害時に問題なく動きかつ、点検やメンテナンスがしっかりと行われているか」です。このことから、実際に電気事業法点検しか受けていないような非常用発電機の多くは災害時に始動せず、しかも、最悪の場合、事故につながるといったケースが多発しています。