なぜ非常用発電機に負荷試験が必要なのか

非常用発電機は飲食店テナントビル、商業施設、百貨店、病院、介護施設、老人ホーム、旅館やホテルなど、人が集まる一定規模の建築物に設置されます。
万が一、火災などが発生し電力会社からの電源供給が途絶えてしまうと、設置している消火設備が稼働しなくなってしまうからです。
非常用で使用する電源は、消防法、建築基準法にもとづき防災用設備および建築設備にはそれぞれ設置基準が設けられています。

非常用発電機が作動しないと起こること

消火設備が稼働しないケースで、第一に考えなければいけないことは、人命への影響があるということです。
人が集まる施設を管理・運営するには、いざという時に人命を守る義務があります。
そして、迅速な消火活動を行い人命を守るために、消防法および建築基準法では下記の基準が設けられています。

消防法における非常電源

スプリンクラーや消火栓などの、消防用設備に対しての「非常用電源」です。
消防法では、停電後40秒以内に電圧を確立することだけでなく、各消防設備に電力を供給する時間などが定められています。

建築基準法における予備電源

非常用照明や排煙設備、非常用エレベータ、防火シャッターなどの非常用電源として使用する「予備電源」です。
消防法における非常用電源と併用することも可能ですが、停電後40秒以内に電圧を確立することだけでなく、防災設備に30分以上電源を供給できることなどが定められています。
いざ、という時にスプリンクラーや消火栓などの消防設備が稼働しない、非常用照明や排煙設備が稼働しないことで人命を失うことがあってはいけないのです。
そのために、非常用発電機には点検基準が設けられており、その中の一つとして「負荷試験」が含まれています。

非常用発電機負荷試験とは

非常用発電機がいざという時に稼働しない、というトラブルを防ぐために、30%以上の擬似的な負荷をかけ点検を行います。
負荷試験には、非常用発電機の動作確認だけでなくメンテナンス効果もあります。
1年に1回の総合点検に含まれる、実施しなければならない試験の一つです。

非常用発電機の点検には罰則規定があります

平成24年6月27日に罰則規定(両罰規定第45条第39条第41条)が追加されました。
以下の通り法令による罰則があります。

電気事業法技術基準に適合していないと認められる発電設備の設置者(電気事業法第 40 条)技術基準にへの適合命令、又は使用制限
建築基準法検査報告をしない者又は虚偽の報告をした者(建築基準法第 101 条)100 万円以下 の罰金
消防法点検報告をしない者又は虚偽の報告をした者(消防法第44条11号)30 万円以下の罰金、又は拘留流
上記従業者と所有者、管理者(消防法第45条3号)最高で 1 億円の罰金及び刑事責任

この罰則の対象者は法人・法人の代表者・従業員等で、代表者だけではなく防災担当の任命を受けた担当者も含まれます。
法令により定められた点検・整備は速やかに実施しましょう。

罰則もありますが、何よりも人命にかかわる事ですので法令に沿った点検を行いましょう。