負荷試験のトラブル事例から、トラブルの起きやすい傾向と回避対策
平成30年6月から消防法改正により施行されました
自家発電設備の点検方法改正に伴い、負荷試験の実施件数は増加をしました。
現在まで約4年が経過し、負荷試験実施後の故障など弊社へのトラブル相談も増えています。
負荷試験のトラブル事例から、トラブルの起きやすい傾向と回避対策をご案内します。
負荷試験実施での故障やトラブル
自家発電設備、非常用発電機に用いられる負荷試験の多くは模擬負荷試験器を用いた模擬負荷試験となります。
模擬負荷試験では
自家発電設備の二次側を模擬負荷試験器に繋ぎこみ、発電能力を計測します。
自家発電設備から発電された電気は模擬負荷試験器にて熱エネルギーとなり排出されます。
身近なものに例えますと、発電機の電気をドライヤーに繋ぎこんでいるイメージです。
必要となる機材は、模擬負荷試験器とケーブル、養生材、運搬車です。
模擬負荷試験には試験実施に必須となる資格がないため
負荷試験需要の増加と共に、異業種からの参入が多くありトラブルの一因を担っています。
トラブルを起こさない対策
負荷試験実施の目的は法令順守はもとより
普段動かさない非常用の発電機が、災害時に正しく機能するかを客観的に把握するために行います。
そのために必要なのは、事前・事後のメンテナンスです。
長期間に渡り、メンテナンスをされていない発電機を負荷試験することは
故障発生リスクを伴います。
利用頻度を問わず、オイルや冷却水は経年劣化をします。
ゴム素材で出来ているホースやファンベルトも同様です。
それぞれの消耗部品ごとに、交換を要する寿命が存在します。
交換寿命を無視して発電機に負荷を掛けると、機器寿命を一気に縮める結果になります。
メンテナンスの知識とノウハウを持った有資格者が、負荷試験とメンテナンスを一貫して行うことで
トラブル発生のリスクは最小化されます。
ユーザー様にとっては、試験費用の他にメンテナンス整備が必要になる
耳の痛い提案も、発電機故障のリスクを正しく説明することが専門会社に求められる姿勢です。
長期的にみれば費用は同じくらい
発電機の有資格者が行うメンテナンスと負荷試験は、負荷試験専門業者と比較すると高く見えます。
しかし、長期的にみると支出は同じです。
負荷試験専門会社は、一般的に毎年負荷試験を行うことを提案します。
法令的にはクリアしますが、負荷試験を毎年してもオイルや冷却水の寿命が延びるわけではありません。
ノーメンテナンスのまま負荷試験を毎年実施すれば、いずれ発電機が動かない、止まらないなどの故障は必ず起きます。
故障発生後の修理は、故障予防の事前整備より総額が高くなります。
理由は、周辺機器にまで影響が出て故障現象を招いているため、対策修理箇所は予防整備より広くなります。
安価に試験を繰り返し、故障発生したら高額修理となるか
都度の費用は試験のみに比べ高くなりますが、故障リスクを抑制し機器寿命を延ばすかは
ユーザー様の考え方になります。