スプリンクラーの設置基準

スプリンクラーは、初期消火に役立つ設備です。

ボヤの段階で鎮火できれば、それが一番良いですからね。

スプリンクラーには細かな設置基準が定められています。

スプリンクラーの設置基準を解説【施設ごとの設置基準】

施設ごとのスプリンクラーの設置基準は、消防法施行令第12条で定められています。

下記の表にある面積以上の施設には、スプリンクラーの設置が必要です。

表は大きく4つに分類されます。

  1. 地上1~3階:火事が起きても自力で逃げ出せる高さなので、設置基準がゆるい
  2. 地上4~10階:自力で逃げ出しにくい高さだが、はしご車が届くので、設置基準が中間くらい
  3. 地階、無窓階:窓がなく煙がこもりやすく救助が難しいので、設置基準が厳しい
  4. 地上11階以上:自力で逃げ出しにくい高さで、はしご車も届かないので、設置基準がかなり厳しい

※スマホを横にすると見やすいです。

施設地上1~3階延べ面積㎡4~10階階の床面積㎡地階又は無窓階階の床面積㎡地上11階以上
劇場、映画館、演芸場又は観覧場6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
公会堂又は集会場6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
キャバレー、カフェー、ナイトクラブの類6000㎡(平屋建以外)1000㎡1000㎡すべて
遊技場又はダンスホール6000㎡(平屋建以外)1000㎡1000㎡すべて
性風俗関連特殊営業店舗等6000㎡(平屋建以外)1000㎡1000㎡すべて
カラオケボックス、漫画喫茶、ネットカフェ、個室ビデオ等6000㎡(平屋建以外)1000㎡1000㎡すべて
待合、料理店の類6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
飲食店6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
百貨店、マーケットその他の物品販売を営む店舗又は展示場3000㎡(平屋建以外)1000㎡1000㎡すべて
旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
寄宿舎、下宿又は共同住宅11階以上
病院、診療所又は助産所すべて1500㎡1000㎡すべて
要介護者・重症者が入所する社会福祉施設等275㎡1500㎡1000㎡すべて
介護を要さない方が入所、又は要介護者が通所する社会福祉施設等6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
幼稚園又は特別支援学校6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校の類11階以上
図書館、博物館、美術館の類11階以上
公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場の類6000㎡(平屋建以外)1500㎡1000㎡すべて
上記公衆浴場以外の公衆浴場11階以上
車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場11階以上
神社、寺院、教会の類11階以上
工場又は作業場11階以上
映画スタジオ又はテレビスタジオ11階以上
自動車車庫、駐車場11階以上
飛行機又は回転翼航空機の格納庫11階以上
倉庫ラック式で天井高さが10mを超え、かつ、延べ面積が700㎡以上11階以上
全各項に該当しない事業場(事務所など)11階以上
複合用途防火対象物のうち、特定防火対象物
の用途に供される部分が存在するもの
特定防火対象物の床面積の合計が3000㎡以上の階のうち、当該部分が存する階特定防火対象物の床面積が1500㎡以上の階特定防火対象物の床面積が1000㎡以上の階すべて
複合用途防火対象物のうちイに掲げる防火対象物以外のもの11階以上
地下街延べ面積1000㎡以上
準地下街延べ面積1000㎡で、かつ、特定防火対象物の床面積の合計が500㎡以上
文化財保護法の規定により重要文化財、重要有形民俗文化財、史跡
若しくは重要な文化財として指定され、又は旧重要美術品等の保存
に関する法律の規定によって重要美術品として認定された建造物
11階以上
延長50メートル以上のアーケード
市町村長の指定する山林
自治省令で定める舟車

ちなみに、設置の届け出は消防署に行います。

5種類のスプリンクラーの違い

①開放型スプリンクラー

開放型スプリンクラーは、劇場の舞台などに向いています。

開放型は火災報知器とセットで設置されます。

ヘッドの放水口が常に解放されているタイプで、弁が外れることで一斉に放水します。

ヘッドに感熱部がないため、煙や火を感知しにくいところに向いています。

また、燃え広がりが早い場所では、開放型が良いですね。

放水は手動も自動もあります。

②放水型スプリンクラー

高さ10m以上の部分に設置するスプリンクラーです。

センサーで火災場所を狙って放水もできます。

開放型スプリンクラーのもっとすごい版みたいなイメージです。

③湿式スプリンクラー(閉鎖型)

湿式スプリンクラーは、もっとも採用されているスプリンクラーです。

放水口ギリギリのところ(ヘッド)まで、常に水が来ているタイプです。

「閉鎖型」とはヘッドに感熱部があるタイプで、熱でヘッドが破損することで放水します。

上記の「開放型」の方が放水が早く、閉鎖型はヘッドが熱で破損するまで放水しません。

④乾式スプリンクラー(閉鎖型)

乾式スプリンクラーは、寒冷地に向いています。

弁からヘッドまでに圧縮空気が充満していて、ヘッドが熱で破損すると放水します。

湿式のように弁からヘッドの中に水が入っていると、凍結の危険があります。

なので、乾式は寒冷地が良いでしょう。

⑤予作動式スプリンクラー(閉鎖型)

予作動式は火災報知器とセットで設置されます。

「開放型と乾式の間」のような感じです。

  • 弁からヘッドの中には圧縮空気が入っている
  • 火災報知器で感知して放水

スプリンクラーの誤作動で、パソコンや精密機器が壊れるのを防ぎたい場合は予作動式が良いでしょう。