非常用発電機の高圧や低圧とは

1.低圧、高圧、特別高圧の違いは何か?

基本的な違いは
低圧電力・高圧電力・特別高圧電力それぞれの電圧の分類によって変わります。

電圧の大きさは、法律に基づいて区分されています。

下記に書いていきます。

区分   定格出力   交流電圧       直流電圧
低圧    50kW未満 600V以下      750V以下
高圧   50kW以上 600V以上7,000V以下 750V以上7,000V以下
特高  2,000kW以上 7,000V超      7,000V超

となっております。
下記にもう少し詳しく書いていきたいと思います。

①低圧電力

低圧電力とは、直流で750V以下、交流で600V以下の電圧を指します。

商店や医院、カフェ、美容院などの事業所から一般家庭まで、多く使用されています。

低圧電力は自分で変圧設備を用意する必要がなく、すごく使いやすい電圧です。

②高圧電力

高圧電力とは、直流で750V超~7000V以下、交流で600V超~7000V以下の電圧です。

中小ビルや中小規模向上などで使用されてます。

高圧電力は、柱上変圧器(トランス)の手前で6600Vまで電圧を下げられています。

この高圧電力を、キュービクルという自家用の変圧設備を利用して、電圧を100Vまたは200Vに下げて使います。

※キュービクルがあれば高圧ですし、なければ低圧ということになります。

あるいは、電気料金の請求書に、供給電圧が6kV以上という記載があれば、高圧電力ということになります。

電力会社によっては、「高圧」という言葉を使わないプラン名になっている可能性があるのでご注意ください。

※キュービクルとは、発電所から送られてくる高圧の電気を、施設で使える電圧まで変圧する設備です。

自分の契約電力が、低圧なのか高圧なのか、キュービクルの有無によって確認できます。

③特別高圧電力

特別高圧電力とは、直流・交流ともに7000V超の電圧のことです。

大規模工場やデパート、大量の電力を使用する施設で主に用いられます。

特別高圧を省略して、「特高」とも呼ばれます。

大量の電気が必要な工場などで必要な電流を流すためには、非常に大きな電圧が必要となります。

そのため、工場内に直接、送電線を変電所から引き込み、電流を流す必要があります。

低圧や高圧に比べて電圧が高いため、事故が発生しないように、安全に配慮が必要です。

④電気はどこから買えるの?

電気は基本的に電力会社と契約を結び電力会社から供給をうける流れとなります。
普段は電線から流れてくる電圧は6,600Vになっています。実際に使用する電力設備は100Vもしくは200Vになるのですが、通常は電柱に乗っている柱上トランス(変圧器)で100V、200Vに変圧されて、一般家庭に供給されています。

高圧とは、電線から流れてくる6,600Vの電気をそのまま購入して、自社のキュービクル内のトランス(変圧器)で100Vや200Vに変圧しています。

ですので非常用発電機の設置の際は建物がどうゆう電圧で普段動いているのかで変わりますので要注意です。

2.非常用発電機のどこを見れば高圧か低圧を判断できる?

これに関しては容量等はあまり関係なく
主に電圧を見てください!高圧は6600Vが使われます。
それかキュービクルがあるかないかでも判断できるかと思います。

例えばですが低圧(100Vや200V)で500KVAの発電機もありますし、高圧(6.6KV)で500KVAの発電機もあります。
電圧を見るように心がけましょう!

3.非常用発電機は低圧と高圧で点検は変わる?

これについては変わります。

試験を行う手順については、高圧、低圧それぞれ大きな違いはなく、基本的には点検用ユニットにつないで擬似負荷試験を行います。

高圧非常用発電機は物によってかわりますが、6,600Vや3,300Vの高圧電気を発電して、キュービクルで変圧することが多いです。つまり、メンテナンスではキュービクルのメンテナンスも重要ですし、擬似試験を行うユニットも高圧に対応したものでないといけません。

また、非常用発電機によってはキュービクルとトランス(変圧器)が内蔵されているケースも多いです。この場合は始動するかだけではなく正しく変圧されて電力供給が行われているかまで点検をしないといけません。

低圧と高圧を比べると、高圧の方が非常用発電機のランニングコストが高くなり、稼動時のトラブルリスクが高くなります。

①高圧の場合、固定費が高いかも

低圧電気と高圧電気には「固定費の有無」という違いもあります。例えば、低圧電気は発電所から柱上変圧器、屋内の分電盤までが電力会社の所有物です。当然、分電盤までの設備の維持・管理は電力会社が請け負います。

反対に、高圧電気で使用するキュービクルは利用者側の所有物として設置します。その為、キュービクルにかかる維持・管理などの固定費がかかることに。業者に業務委託、または自社で専任を設置するなどの人件費が必要です。

4.非常用発電機は低圧、高圧だけではなく周波数も変わります!

非常用発電機は周波数も変わります。
下記で説明致します。

①周波数とは?

電気には直流と交流があります。

電力会社から供給される電気は交流です。

電池で言えば、プラス極とマイナス極をイメージすると

1秒間にこのプラス極とマイナス極を入れ替わっている回数を周波数と呼びます。

日本では周波数が東日本と西日本で分かれています。

南は静岡、北は新潟を境に東日本(50hz)西日本(60hz)に分断されます。

成り立ちとしてが分かりやすいです。

明治時代まで遡りますが

電力会社である、東京電燈と大阪電燈でそれぞれ採用した

発電設備がドイツ製(50hz)とアメリカ製(60hz)により

設備に合わせる形でエリアによる周波数が分けられました。

②周波数が変われば電圧(V)も変わる?

据付型の非常用発電機を50Hz地域で使用していた場合、例えば低圧仕様の電圧は200Vか400Vになります。

60Hz地域で使用する場合には、200Vは220V

400Vは440Vへの設定変更が必要です。

家電製品など出力容量の小さいものは内臓されているインバーターにより

どちらで使っても支障が出ないように作られています。

非常用発電機など、災害時に大きな動力を動かす目的に作られた機械は

あらかじめ設置される地域の周波数に即した設計をしています。

③周波数スイッチが付いている場合もある

周波数スイッチが付いている場合もあります。

ですがもともとの設計思想に

設置した非常用発電機が周波数の異なるエリアに再設置したり

海外での使用や、再流通をすることは考えられていないため

周波数の切り替え機能は備わっていません。

東京で使っていた非常用発電機を、年式が新しいからそのまま大阪で使う事は

周波数が合わないため、設置できませんのでご注意下さい。
こういった理由があるためにスイッチはあまりありません。