漏電による火災に注意!
漏電火災警報器について詳しく解説します!
漏電火災警報器とは?
漏電火災警報器は、簡単に言うと漏電が発生した際に警報を発し、火災を未然に防ぐものです。
漏電火災が起きやすいとされる、以下の三つの建築物に設置されます。
・下地などを準不燃材料以外の材料で造った鉄網入りの壁
・床または天井を有する建築物
・ラスモルタル仕上げの木造建築
※ラスモルタルとは:ラスと言う金属製の網を下地としてモルタルと言う建築材料を塗りつけた施工方法のこと
これらの建築物に漏洩電流が流れると、鉄網に熱せられ火災が発生する恐れがあるため、
漏電火災警報器を設置する必要があります。
漏電火災警報器の歴史
関東大震災以降、日本では防火構造としてラスモルタル外壁が増加、これにより漏電火災も増加しました。
このため、現在の漏電火災警報器に相当する電気火災警報器が発達しました。
1960年代での日本では第二次世界大戦に建てられた簡易建築が相次いで老朽化し、漏電や火災が相次いでいました。
そのような時代背景において、1961年の消防法施行令の公布により、メタルラスモルタル建築に電気火災警報器の設置が義務付けられ、1964年1月には警報器の検定も義務付けられることになりました。
作動する仕組みについて
漏電火災警報器とは変流器と受信機と音響装置で構成されています。
変流器で漏電を検出し、受信機で漏電の大きさを判定し、設定値(感度電流)以上の漏電がある場合は、音響装置が警報を発します。
設置基準は?
消防法施行令22条に規定される、ラスモルタルによる建築物で施行令別表第一に示す防火対象物のうち、広さもしくは契約電流が同条に指定される大きさ以上のものに設置する義務があります。
消防施行令
令第22条第2項及び規則第24条の3によるほか、次のように設置すること。
(1)漏電火災警報器は、次のアからキまでに掲げる場所以外に設けること。ただし防爆、防食、防温、防振または静電的遮へい等設置場所に応じた適当な防護措置を施したものにあっては、この限りではない。
ア 可燃性蒸気、可燃性ガス又は可燃性粉じんが滞留する恐れのある場所
イ 火薬類を製造し、貯蔵し、又は取り扱う場所
ウ 腐食性の蒸気、ガス等が発生するおそれのある場所
エ 湿度の高い場所
オ 温度変化の激しい場所
カ 振動が激しく機械的損傷を受ける恐れのある場所
キ 大電流回路、高周波発生回路等により影響を受ける恐れのある場所
警報がでた場合はどうすればいい!?
電気管理者等に点検・調査を依頼し、原因の特定や確認をしてもらう必要があります。
もしも、警報器が鳴った場合は以下の手順を参考に対処をしましょう!
①負荷の電源を切ってもよい場合は、分電盤の分岐回路のブレーカーを一旦全部「切」にして、警報が止まるかどうかを見ます。(止まらなければ、分電盤より電源側で漏電します。)
②止まるようなら分電盤より負荷側の回路で漏電していますので、(復帰が手動の場合は一旦復帰させることが必要です)一回路ずつ「入」にしていき、再び警報が発生した回路が漏電を起こしていますので、その回路だけ「切」にしておきます。その後、電気管理者等に点検・検査を依頼します。
漏電遮断機との違い
漏電遮断機とは漏電を感知し、それによる感電事故や火災が発生する前に回路を遮断するための装置です。
漏電を検知する原理は漏電遮断機と同様で、回路的に大きな違いはありません。
しかし、漏電遮断器が漏電の発生を検知したら電源を遮断することを目的としているのに対し、漏電火災警報器は警報を発することが目的であるため、漏電を感知しても、電源を遮断する必要がありません。
また、二つの消防設備では則っている法令にも違いがあります。
漏電遮断機:電気用品安全法や電気工事士法などに準拠
漏電火災警報器:消防法 消防法施行令、消防法施行規則などに準拠
両者は設置基準や技術基準などの準拠する法律自体が異なっているため、法律的にも兼用は不可能となっています。
型式失効に気をつけて!
使用期限のようなものは特に存在がしませんが、検定の型式番号が失効したものがあります。
いずれも、昭和37年規格、昭和44年規格に基づいて製造された古い製品ですが、その後の化学技術の進展に応じて昭和51年に規格が改正され、それ以前の規格に基づいて製造されたものは型式失効となりました。