常用発電機・非常用発電機・可搬型発電機
設置型の常用・非常用発電機と持ち運びできる可搬型発電機
発電機は設置型の常用発電機と非常用発電機
持ち運びの移動ができる可搬型発電機と
用途別に大きく分けて3つのタイプがあります。
①常用発電機(自家発電設備)
連続運転の耐久性、省エネ性能、排気ガスへの環境対策に優れています。
原油の国際相場が安価であり、法人向けの電気料金が高かった時代には
電気料金より自家発電設備の導入がメリットがありました。
代表的メーカーでは、エネサーブが既存メーカーより安価な価格と保障サービスにより大きく普及が進みました。
自社で重油を調達し、発電機の保守整備にコストを掛けても電気料金よりコスト削減になるため利用メリットがありました。
中国をはじめ新興国の原油需要の増加にともない、原油価格は次第に上昇し
電力自由化や法人向け電気料金の価格低下により
当初計画した初期投資の回収期間が延びていき
自家発電設備はランニングコストに見合う経済合理性が失われました。
燃料高も要因にありますが、常用型発電機は毎月メンテナンスが必要になるため
燃料高とメンテナンスコストの兼ね合いから、商用電源に切り替えるケースもあります。
現在は常用に使う自家発電設備の目的よりも
繁忙期や大きな動力を動かす際のピークカット目的として工場などに採用されています。
自家発電設備と電気の基本料金を抑える取り組み(ピークカット)
年間を通し1~10月は500kw/月を使うとして、11月と12月は生産の繁忙期のため1000kw/月になるとします。
電気の基本料金は年間を通し、最も電気需要の高いピークに合わせて設定されます。
11~12月の1000kw/月を使うためには、年間を通して1000kw/月を使える容量の基本電気料金の契約をするため
月額の基本料金が高くなってしまいます。
500kw/月しか使わない10か月分がもったいない状態になります。
ここで、500kw/月の基本料金で年間契約をし、1000kw/月必要になる2か月のみを500kw分、自家発電することで
トータルコストを下げる目的で行います。
自家発電設備に採用される常用発電機は
連続長時間運転を想定して作られていますので、耐久性に優れ整備も行いやすい設計になっています。
使う時間や限られた時期にだけ使われるピークカット用途の発電機では
大型の可搬型発電機や簡易型常用発電機が用いられることもあります。
常用発電機(自家発電設備)の点検義務・メンテナンス
電気工作物にあたりますので、電気事業法では定期的に主任技術者による点検が行われます。
メンテナンスは主に納入したメーカー代理店とのメンテナンス契約が主流です。
②一般非常用発電機・防災型非常用発電機
地震や火災などの災害時に起動させるための発電機です。
常用発電機とは異なり、普段動かさないことでの待機している場面での耐久性と始動性に優れます。
具体的には、エンジンを動かさないことで内部のオイルが下に垂れてしまわないように、強制循環させるプライミングポンプなど常用発電機には必要のない特殊機能があります。
停電になりますと、停電信号を感知し10秒ほどで自動始動及び自家発電に切り替わります。
電気が復旧しますと自動的に停止をし自家発電から商用電気への切替を行います。
病院やビル、大規模マンションなどでは火災時に消火活動や避難誘導を行うためのバックアップ電源として消防法では設置と、半年・年次の点検が義務付けられています。
長時間の停電が生じると、経済活動や資産保全に影響が出ることを最小限に抑えるため
減災目的やBCP用途として非常用発電機を設置する需要も急増しています。
大型台風の上陸頻度が多発している昨今、2~3日間に渡る停電もいつ営業エリアで発生するか可能性はゼロではありません。
営業活動、生産活動を継続して行うためには非常時の電源供給を行う非常用発電機はマストになります。
非常用発電機の点検義務とメンテナンス
10kw以上の非常用発電機は、電気事業法では電気工作物に該当するため、設置後は電気主任技術者による点検が義務付けられています。
防災用として設置されている非常用発電機は、電気事業法に加え消防法で点検と報告が義務付けられています。
非常用発電機・非常用発電設備のメンテナンス
防災用として設置されているディーゼルエンジンの非常用発電機は
消防法に基づき、点検と負荷試験が義務付けられています。
負荷試験は非常用発電機に直接負荷を繋ぎこむ実負荷試験、または試験器に繋ぎこむ模擬負荷試験のいずれかを行います。
どちらの試験も発電機に負荷抵抗を与えますので、メンテナンスを行わずに負荷試験のみを行いますと故障の原因となります。
非常用発電機は使用頻度を問わず、消耗部品・構成部品の経年劣化は避けられません。
③可搬型発電機
可搬型発電機とは主に工事現場などで活用される、移動式の発電機です。
常用発電機のように毎日の高負荷による長時間の連続運転には不向きです。
可搬型発電機の利点はポータブル性を高めるために設計されているため、パッケージはコンパクトに設計されています。
このため、工事現場や電線のない山間部での作業現場までの移動に優れており
パッケージは風雨にも耐えるように設計されています。
また仮設現場での使用がメインになるため、設置工事も必要とせず使用ができます。
ただし、コンパクトになることへ重点が置かれているので重整備になると作業がしにくい点があります。
可搬型のメリットは、重整備も工場へ持ち込みが出来るため、メンテナンスコストを安価に抑えられます。
建設現場で必要な時に必要な時期だけ使う用途が多いため、レンタルでの取引が盛んです。