非常用発電機の負荷試験は法令で義務付けられている

点検周期について

消防法施行規則等が平成30年6月1日に改正されたことにより、年1回から6年に1回に延長された非常用発電機の負荷試験の点検周期及びその内容について詳しく解説します。

非常用発電機の設置は出力容量、使用用途、設置する地域により、電気事業法、消防法、建築基準法、大気汚染防止法(大防法)などの法令などで規定されています。

なかでも、百貨店や集合住宅、学校などの特定建築物では、非常用発電機を使用して消火栓やスプリングラーなどの消防設備への電力供給を行うことが多いもの。生命に直結する設備であることから、消防法により電力供給が途絶えた際に40秒以内に電圧を確立、60分以上の連続運転が可能であることが規定されています。

負荷試験は、万が一の場合でも非常用発電機が正常に作動することができるように、重要な点検の一環として必ず行わなくてはならないものです。

参照元HP:総務省消防庁公式「消防用設備等の点検報告制度について(PDF)」
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/h30_0626-2.pdf

消防法で定められた負荷運転とは

消防庁告示第12号(平成30年6月消防予第373号)で定められた負荷運転とは以下の通りです。

  1. 1年に1回、疑似負荷装置、実負荷等にて定格回路回転速度及び出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行い確認すること
  2. 負荷運転に代えて内部観察等による点検が可能であること
  3. 上記1、2を実施後「運転性能の維持にかかる予防的な保全策」が講じられた場合、1か2の点検を6年に1回実施すればよいこと
  4. 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備は無負荷でも未燃焼燃料が残らないため負荷運転は不要であること

※内部観察等による点検項目:過給機のコンプレッサー翼(空気側)の観察/過給機のタービン翼(排気側)の観察/過給機出口からの排気管内部の観察(目視および内視鏡による)/燃料噴射弁の噴霧圧力の確認・調整/シリンダヘッドの燃料噴射弁取付け孔から、内視鏡を挿入してのシリンダ内部・シリンダ壁・吸排気弁・ピストン頂部などの観察/クランクケース側からのピストンリング、シリンダライナの観察/場合によっては、シリンダヘッドの開放によるシリンダ内部の観察/潤滑油の成分分析/冷却水の成分分析など

負荷試験の点検周期は
1年に1回から6年に1回に延長

平成30年6月の消防法施行規則等の改正により、従前は1年に1回必要であった負荷試験の実施は、「運動性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合」に限り、6年に1回となりました。

予防的な保全策には、①予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプがそれぞれ設けられている場合は1年ごとに確認が必要であること②負荷運転により不具合を発生する部品の推奨交換年数が6年以上であることなどが含まれます。

なお、予防的な保全策が講じられていない場合には、従前と同様に1年に1回の負荷試験点検、または内部観察点検が必要です。